脂肪酸

脂肪酸（Fatty Acid）

脂肪酸とは、炭化水素鎖にカルボキシ基を持つ一価のカルボン酸であり、主に炭素数および不飽和結合の有無によって分類されます。この脂肪酸は生体内で重要な役割を果たしており、特に細胞膜を構成する脂質分子の主要成分として知られています。また、脂肪酸はグリセリンとエステル結合することにより油脂を形成します。

脂肪酸の分類

脂肪酸は、以下の方法で分類されます。

1. 炭素数による分類

• - 短鎖脂肪酸（炭素数6未満）
• - 中鎖脂肪酸（炭素数6-12）
• - 長鎖脂肪酸（炭素数13-21）
• - 超長鎖脂肪酸（炭素数22以上）

これに加え、炭素数10以上のものは高級脂肪酸とも呼ばれます。

2. 不飽和度による分類

• - 飽和脂肪酸（単結合のみ）
• - 不飽和脂肪酸（二重結合を含む）

不飽和脂肪酸は、さらにモノエン脂肪酸（単一の二重結合）とポリエン脂肪酸（複数の二重結合）に分けられます。

3. 幾何異性体による分類

不飽和脂肪酸は、cis型とtrans型に分類され、健康への影響が異なります。天然に存在するものは主にcis型であり、trans型は人工的に生成されることが多いです。

4. その他の分類

ここには、分枝脂肪酸、環状脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、奇数・偶数炭素脂肪酸などが含まれます。

化学的性質

飽和脂肪酸の融点は、炭素数に応じて高くなる傾向がありますが、符号は一様ではなく炭素数が少ないものにおいては異なる挙動を示します。例えば、炭素数2の酢酸と炭素数5のペンタン酸の融点は異なり、環境条件によって影響を受けることがあります。一般的に、飽和脂肪酸は同じ炭素数の不飽和脂肪酸よりも融点が高いです。

脂肪酸の代謝

脂肪酸は主にエネルギー源として使われ、筋肉細胞内でカルニチンによってミトコンドリアに運ばれます。ミトコンドリア内でβ酸化を受けてエネルギーに変換され、特にがん細胞に対して抗腫瘍効果を示す場合があります。また、遊離脂肪酸は血中でアルブミンと結合し、循環輸送されます。

食事における脂肪酸

脂肪酸はグリセリンと結びついてトリグリセリドを形成することが多く、特に長鎖脂肪酸（LCT）と中鎖脂肪酸（MCT）では異なる代謝過程を持ちます。MCTは血液中に素早く放出されるのに対し、LCTはリンパを通じて徐々に吸収されるため、代謝の速度が異なります。近年、MCTはケトン体の生成を促進することから注目されていますが、摂取方法には注意が必要です。

健康への影響

飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、血中コレステロールが増加しやすく、これは心疾患のリスクを高める要因となります。WHOでも飽和脂肪酸の摂取制限が推奨されており、健康的な食生活が求められています。

このように脂肪酸は多くの生理的機能を有し、食生活や健康管理において重要な知識となります。

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