脇坂安照

脇坂安照：赤穂事件と龍野藩を繋いだ藩主の生涯

脇坂安照は、江戸時代中期に播磨国龍野藩を治めた大名です。龍野藩脇坂家4代当主として、従五位下・淡路守に叙任されました。安照の生涯は、赤穂事件への関与によって特に知られています。

誕生と家督相続

明暦4年（1658年）、初代藩主・脇坂安政の五男として江戸で誕生しました。幼少期から、家督相続を巡る複雑な状況の中で成長していったと考えられます。複数の兄弟がいた中、安照は延宝6年（1678年）、兄の病弱を理由に廃嫡されたことで、跡継ぎの地位を継承することになります。そして、同年、従五位下・淡路守に叙任され、貞享元年（1684年）、父の隠居に伴い正式に龍野藩の藩主となりました。

赤穂事件への関与

元禄14年（1701年）、江戸城内で発生した赤穂事件において、安照は重要な役割を担いました。赤穂藩の隣接藩藩主であった安照は、事件発生後、浅野家の居城である赤穂城の受け取りを任されるという重要な役割を担います。これは、事件処理における重要な局面であり、安照の政治的立場を示す出来事と言えます。さらに、新しい藩主が着任するまでの約1年半、赤穂城の警備という難しい任務にも当たりました。

赤穂城在番中の事件

赤穂城での在番中、家臣の内部抗争が発生するという不幸な出来事が起きました。龍野藩家老の脇坂民部の日記『赤穂城在番日記』には、家臣の左次兵衛が乱心して同僚を殺害した事件が記録されています。この事件は、安照の統治能力や家臣団の管理体制に課題を残すものでした。安照は、この事件を幕府に報告し、対応に追われました。この出来事は、赤穂事件という激動の時代の中で、安照が抱えていた様々な困難を示す一例と言えるでしょう。

隠居と晩年

宝永6年（1709年）、安照は長男の安清に家督を譲り、隠居生活に入りました。この際に、四男の安利に所領の一部を分与したことで、龍野藩の石高は減少しました。これは、家臣団への配慮や、一族の維持といった、藩主としての様々な思惑が絡み合っていたと推測できます。享保7年（1722年）、長男の死後まもなく、龍野で亡くなりました。享年65歳でした。

安照を演じた俳優たち

脇坂安照は、多くの忠臣蔵関連作品で取り上げられ、著名な俳優たちが演じてきました。大谷日出夫、市川右太衛門、小林桂樹といった往年のスターから、中村錦之助、久米明、北大路欣也、渡辺謙といった現代の俳優まで、時代を超えて多くの俳優が安照の姿を演じています。これらの作品を通して、安照の生き様は、現代にも受け継がれ、様々な解釈がなされてきました。

系譜とその後

安照の系譜は、龍野藩の存続と発展に大きく関わっていました。彼の父は脇坂安政、母は今井総十郎の娘です。安照自身は、複数の側室を持ち、多くの子供をもうけました。その中には、家督を継いだ長男・安清をはじめ、養子に出された者や、他の藩に仕えた者も含まれています。これらの事実から、安照の時代における、家系と政治の複雑な関係性が見えてきます。

まとめ

脇坂安照は、赤穂事件への関与や、家臣による事件、そして家督相続と隠居など、波乱に満ちた生涯を送りました。彼の行動は、常に政治的駆け引きや、藩の存続という重い責任との狭間でなされたものだったと言えるでしょう。龍野藩主としての彼の功績、そして人間像は、歴史資料や、彼を演じた俳優たちの演技を通して、現代にまで語り継がれています。

もう一度検索