脇屋義則

脇屋義則について

脇屋義則（わきや よしのり）は、南北朝時代に活躍した武将です。新田氏の一族である脇屋義治の嫡男として生まれましたが、新田氏の惣領であった新田義宗の庶子とする説もあります。また、新田義陸（よしたか）という別名も伝えられています。

新田氏の衰退と脇屋氏の継承

1367年、鎌倉公方足利基氏と室町幕府2代将軍足利義詮が相次いで亡くなると、翌年、義則の父である義治は新田義宗とともに越後で挙兵しました。これは、武蔵平一揆の乱に乗じたものでしたが、足利・上杉勢によって鎮圧され、新田義宗は戦死、義治は消息不明となりました。新田氏はこれにより組織的な力を失い、その苦境の中で義則が脇屋氏を継承することになったと考えられます。

南朝方としての戦い

武蔵平一揆の乱後、義則は父とは別行動をとり、家臣に守られて生き延びました。新田義宗の遺児である貞方が新田氏を継ぎましたが幼少であったため、しばらくの間、義則が新田氏の残党を指揮していたとされています。

1385年頃には、南朝の皇族と新田氏の残党が浪合で戦死したとされ、新田義宗の子である新田相模守入道行啓（義則）とその子のみが奥州へ逃れたという記録があります。その後、義則は貞方とともに陸奥の霊山城に入り、南奥州で勢力を持っていた田村庄司氏を頼りました。田村氏の協力を得た新田党は、相馬氏や蘆名氏との戦いに勝利し、一時は周辺の北朝方を圧倒しました。

しかし、鎌倉府の勢力拡大を狙う鎌倉公方足利氏満は、この動きを看過しませんでした。1395年、足利氏満は自ら軍勢を率いて田村氏を討伐し（田村庄司の乱）、約1年にわたる戦いの末、田村氏は敗北、田村則義・清包父子は自害しました。翌年には南奥州は鎌倉府によって平定され、足利氏満は田村氏とともに抵抗した新田氏の残党を捜索しましたが、貞方と義則は逃亡し、捕縛されることはありませんでした。

潜伏と最期

田村庄司の乱以降、義則の動向は不明でしたが、8年後の1404年、箱根底倉に潜伏していたところを鎌倉府によって発見され、子である義行とともに殺害されたとされています。なお、義則と行動を共にした新田貞方は、1409年に七里ヶ浜で処刑されています。


義則は、新田氏の衰退という苦境の中で、南朝方として最後まで戦い続けた武将でした。その生涯は、南北朝時代の動乱を象徴するものと言えるでしょう。

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