脇村春夫

脇村春夫：実業家、野球人、そして学者

脇村春夫氏は、1932年東京に生まれました。華麗なる一族に育ち、祖父は田辺市名誉市民の脇村市太郎氏、正田貞一郎氏、上皇后美智子さんの従兄にあたります。経済学者である叔父、脇村義太郎氏をはじめ、一家には著名人が多く名を連ねています。

少年時代から野球に打ち込み、神奈川県立湘南高等学校では、1949年夏の甲子園で全国制覇を成し遂げました。2年生ながら三塁手として活躍、チームの初優勝に貢献したことは、彼の野球人生の大きな起点となりました。

高校卒業後は東京大学法学部に進学。東京大学野球部では、主将としてチームを牽引しました。リーグ通算82試合に出場し、三塁手として活躍した記録が残されています。大学卒業後は、東洋紡績株式会社に入社。企業人としてのキャリアをスタートさせました。

東洋紡績では、長年にわたり要職を歴任。1993年には専務取締役を退任するまで、企業の発展に貢献しました。その後、新興産業株式会社の社長に就任。経営手腕を発揮し、企業の成長を導きました。

企業経営の傍ら、脇村氏は学業にも励みました。2005年には大阪大学大学院経済学研究科博士課程を修了し、博士（経済学）の学位を取得。博士論文では、「日本の短繊維織物産地における大手機業経営（「産地大経営」）の戦後の展開」をテーマに、綿密な研究成果を発表しました。

野球界への貢献も著しく、2002年から2008年にかけては日本高等学校野球連盟会長を務めました。長年にわたる野球界への貢献が認められ、2019年には野球殿堂入りを果たしています。甲子園球場での表彰式は、高校球児たちにとって大きな感動を与えた出来事でした。

現在も、公益財団法人脇村奨学会代表理事として、後進の育成に尽力しています。

脇村春夫氏の生涯は、実業家、元アマチュア野球選手、そして経済学者という、三つの顔を持つ稀有な存在であることを示しています。それぞれの分野で卓越した能力を発揮し、社会に多大な貢献を果たしてきた氏の功績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

学歴

1951年3月 神奈川県立湘南高等学校卒業
1955年3月 東京大学法学部卒業
2005年9月 大阪大学大学院経済学研究科博士課程修了

職歴

1955年4月 東洋紡績株式会社入社
1993年6月 東洋紡績株式会社専務取締役退任
1995年6月 新興産業株式会社取締役社長就任
1998年6月 新興産業株式会社取締役社長退任
現在 公益財団法人脇村奨学会代表理事

球歴

1949年8月 第31回全国高等学校野球選手権大会出場（湘南高校）
1952年4月 東京大学野球部入部
1954年4月 東京大学野球部主将
1955年8月 第26回都市対抗野球大会出場（東洋紡富田）
1956年 東洋紡岩国に移籍
2002年11月 - 2008年11月 日本高等学校野球連盟会長
* 2019年 野球殿堂顕彰者選出

彼の経歴は、学業、実業、そして野球という異なる分野における成功を示す、極めて特筆すべきものです。それぞれの領域で輝かしい実績を残し、後世に多大な影響を与え続ける存在と言えるでしょう。

もう一度検索