脇田義信

脇田義信：広島の朝の顔として愛されたアナウンサーの生涯

脇田義信氏は、1945年広島市生まれの広島テレビの元アナウンサーです。生後間もなく被爆した経験から、平和への強い思いを抱き続けました。広島観音高等学校、広島商科大学（現広島修道大学）卒業後、1968年に広島テレビに入社。1969年にアナウンス部に配属され、長年にわたり視聴者に親しまれる存在となりました。

特に朝の情報番組『ズームイン!!朝!』では、広島の朝の顔として活躍しました。同番組の名物コーナー『プロ野球いれコミ情報』では、他局のアナウンサーらと共演。広島東洋カープの熱狂的なファンとして知られ、カープ勝利の際には「やーるときゃやっちょる!!」と叫び、視聴者を沸かせました。1982年には、広島がリーグ優勝できなかった場合、丸坊主にするという公約を果たした逸話も残っています。

脇田氏は、アナウンサーとしての活動にとどまりませんでした。制作部や報道局を経て、2004年には取締役にも就任。多様な役割を担い、広島テレビの発展に貢献しました。

毎年8月6日には広島平和記念式典の模様を生中継で全国に伝え、式典会場からの総合司会を務めるなど、平和へのメッセージの発信にも尽力しました。その活動は、被爆者としての経験に基づいた強い信念から生まれたものでした。

広島東洋カープの実況中継や、野球情報番組への出演など、スポーツ分野でも活躍しました。1980年の日本シリーズ広島対近鉄第2戦の実況も担当しています。

脇田氏は、2005年3月29日、胃がんのため60歳で亡くなりました。『ズームイン!!朝!』では追悼コーナーが放送され、広島東洋カープの山本浩二監督が弔問に訪れた様子も伝えられました。

彼の死後、その名は被爆60周年の原爆死没者名簿に刻まれました。生前、平和祈念式典の中継で自身の死後のことを予言していたことからも、平和への強い思いが伺えます。

脇田氏の功績は、アナウンサーとしての活動だけにとどまりません。被爆体験を背景とした平和へのメッセージ、広島東洋カープへの熱い愛情、そして『ズームイン!!朝!』での長年にわたる活躍など、多方面で才能を発揮した人物でした。彼の功績は、これからも多くの人々の心に刻まれ続けることでしょう。

脇田氏の長男、脇田晃治氏は、中国放送（RCC）関連の番組制作会社を経て、2020年4月に広島テレビに制作プロデューサーとして入社しています。父と同じ会社で働くことになったのは、何とも感慨深いものがあります。

脇田義信氏は、広島テレビの歴史、そして広島のテレビ史に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。彼の生き様は、後世への貴重な教訓となるでしょう。また、彼の情熱と人柄は、多くの人々に感動と勇気を与え続けました。

主な担当番組

ズームイン!!朝!
ザ・トップテン（広島県内中継リポーター）
広島平和音楽祭（司会、制作スタッフ）

ディスコグラフィ

新プロ野球小唄 広島編 (1984年、バップ)

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