臨洮府

臨洮府（りんとうふ）は、中国の歴史において、金代から清代にかけて現在の甘粛省定西市周辺に設置されていた地方行政区画です。その歴史は、金朝の時代に熙州が昇格したことに始まります。

金代の臨洮府

1142年（皇統2年）、金朝は熙州を昇格させ、臨洮府を設置しました。この府は、臨洮路に属し、狄道（てきどう）・当川（とうせん）・康楽（こうらく）の3県を管轄しました。また、慶平鎮（けいへいちん）、景骨城（けいこつじょう）の2つの鎮と、通谷（つうこく）・渭源（いげん）・南川（なんせん）・臨洮（りんとう）の4つの堡もその支配下に置いていました。この時代、臨洮府は地域における重要な行政の中心地として機能していました。

元代の臨洮府

元朝の時代になると、臨洮府は陝西等処行中書省（せんせいとうしょこうちゅうしょしょう）の管轄下に入りました。この時期、臨洮府は狄道県と渭源県の2県を管轄しており、行政範囲は縮小されました。元朝の地方行政制度の中で、臨洮府は引き続き地域の管理を担っていました。

明代の臨洮府

明朝の時代には、臨洮府は陝西省に属することになりました。この時、府は直轄地として狄道県と渭源県の2県を管轄し、さらに蘭州に属する金県（きんけん）と河州（かしゅう）の2州3県を管轄下におさめました。明代の臨洮府は、周辺地域を含む広範なエリアを管理する役割を担っていました。この時期、蘭州との関係性が深まったことが窺えます。

清代の臨洮府

清朝の時代になると、1738年（乾隆3年）に大きな変化が起こります。臨洮府の府治が蘭州に移転され、府の名前も蘭州府（らんしゅうふ）と改称されました。これにより、臨洮府としての歴史は幕を閉じ、蘭州府として新たな歴史を刻むことになりました。この変化は、清朝の地方行政における戦略的な再編を示すものであり、蘭州の重要性が増したことを示唆しています。

臨洮府は、金代から清代にかけて、その行政範囲や所属が変遷しましたが、その地域における政治、経済、文化の中心としての役割を担い続けました。その歴史は、中国の地方行政制度の変遷と地域の発展を理解する上で重要な手がかりとなります。

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