定西市

定西市（ていせいし）

定西市は、中華人民共和国甘粛省の中部に位置する地級市です。

地理

市域内には黄河の支流である渭河が流れ、市内の主要な水源となっています。降水量が少ない半不毛地帯であり、日照時間は長いものの、比較的涼しい気候です。周囲は黄土の丘陵地帯が大部分を占め、北部は渓谷、南部は高地となっています。

気候

年間を通して降水量が少ない乾燥した気候です。夏は比較的温暖で、冬は寒さが厳しくなります。昼夜の寒暖差が大きいのも特徴です。

歴史

定西市は古くから黄河文明の重要な発祥地の一つであり、新石器時代の馬家窯文化、斉家文化、寺窪文化、辛甸文化などの遺跡が発見されています。古代よりシルクロードの要衝として、ヨーロッパとアジアを結ぶ交通路として重要な役割を果たし、甘粛省の省都蘭州市の東の玄関口として栄えました。

2013年7月には甘粛地震が発生し、定西市も大きな被害を受け、多数の死傷者が出ました。

行政区画

定西市は、1つの市轄区と6つの県を管轄しています。

市轄区：安定区
県：通渭県、隴西県、臨洮県、渭源県、漳県、岷県

経済

定西市の土壌と気候は、薬草やジャガイモの栽培に非常に適しています。特に漢方薬の材料となる薬草は300種類を超え、党参や岷県の当帰は国内外で高い評価を得ています。また、地元のジャガイモは形が良く、品質も優れており、貯蔵性や澱粉含有量が高いことで知られています。日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きいため、栽培される花の色は鮮やかで香りも豊かです。各種キノコの栽培も盛んです。

安定区ではヤムイモの栽培が中国で最も盛んです。その他、サンショウ、クルミ、アンズなどの果物の生産も盛んで、乾燥させて輸出されています。

鉱物資源も豊富で、紅柱石、大理石、花崗岩、金などが産出されます。水力エネルギー資源の蓄積量も豊富で、87.84万キロワットに達します。

交通

定西市内には、隴海線、G309国道、G312国道、G212国道、G316国道などの主要な交通網が整備されています。近年では、隴海線の複線化、青蘭高速道路、蘭海高速道路の開通により、交通の便が飛躍的に向上し、「蘭州の門戸」としての重要性が増しています。2017年には、市内を縦断する蘭渝線も開通し、重慶への鉄道ルートが確立しました。

鉄道

中国鉄路総公司
徐蘭旅客専用線
隴海線
蘭渝線

道路

高速道路
青蘭高速道路
連霍高速道路
蘭海高速道路
S2 蘭郎高速道路
S14 隴渭高速道路
国道
G212国道
G309国道
G312国道
* G316国道

観光

漳県の貴清山、遮陽山、渭源の蓮峰山、首陽山などは、国家級または省級の森林公園に指定されており、通渭温泉などの観光資源の開発が期待されています。

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