臨済寺 (豊橋市)

臨済寺 (りんざいじ)

臨済寺は愛知県豊橋市東田町に位置する臨済宗東福寺派の寺院です。この寺は唐津小笠原家の菩提寺として名高く、特に三河吉田藩時代にその重要性を増しました。寺の山号は萬年山（万年山）であり、本尊は釈迦如来坐像です。臨済寺の名前は、中国の禅宗思想に基づく宗祖である臨済義玄に由来しています。

由緒

臨済寺の起源は正保2年（1645年）にさかのぼります。この年、九州の豊後国杵築藩の領主であった小笠原壱岐守忠知が、三河吉田藩に転封され、杵築藩の宗玄寺を現在の豊橋市吉田へ移転したことがきっかけです。この移転により、臨済寺が誕生しました。

その後、忠知の後を継いだ山城守長矩は、寛文4年（1664年）に寺を現在の場所へ移転し、萬年山臨済禅寺と改称しました。東福寺の240世、虎伯大宣禅師を勧請し、開山として日東大暘禅師を迎えました。このように、臨済寺は小笠原家の宗教的支柱としての役割を果たすようになり、さらには同家の他の重要人物たちの廟も建立されることとなります。

臨済寺は地元住民に「殿様寺」として知られています。それは、小笠原家の歴史的背景から来るもので、特に静岡県掛川市の掛川藩主であった山城守長庸の菩提寺でもあるからです。かつて臨済寺は壮大な七堂伽藍を有する大寺院であったとされています。

小笠原家の系譜

小笠原家の歴史は興味深いものがあります。初代忠知の長兄、信濃守忠脩の子孫を養子として迎え入れたこの家は、明治維新を迎える際に肥前国唐津藩（現在の佐賀県）で新たな歴史を刻むことになります。小笠原家は江戸幕府において重要な地位を占め、そして、その家紋は三階(蓋)菱の紋所として知られています。また、初代忠知は茶の湯の名人、千宗旦の弟子であり、その子孫は宗徧流茶道とも関わりを持つようになります。

現在の臨済寺

しかし、臨済寺は明治時代の廃仏毀釈や昭和の豊橋空襲により多大な影響を受けました。現在の寺院は終戦後に再建され、地域住民に親しまれる存在となっています。恵日こども園も併設されており、地域に密着した活動を行っています。

交通アクセス

臨済寺へは、豊橋鉄道東田本線の東田坂上停留場から北へ進むことでアクセス可能です。

文化財と関連項目

臨済寺は豊橋市の指定文化財として、小笠原家奉納の経典を有しています。また関連する寺院としては、東京都世田谷区の幸龍寺（唐津小笠原家の別の菩提寺）や福岡県北九州市の福聚寺（小倉小笠原惣領家の菩提寺）があります。これらの寺院も小笠原家に深い関わりがあることを示しています。

臨済寺はその歴史と文化的な価値から、地域社会において重要な役割を果たしている寺院です。

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