自己資本利益率

自己資本利益率（ROE）とは

自己資本利益率（Return on Equity、ROE）は、企業が株主の投資額に対してどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標です。企業の収益性を分析する上で重要な指標の一つであり、投資家が投資判断を行う際の参考指標として用いられます。

ROEの定義

ROEは、当期純利益を自己資本で割って算出されます。自己資本とは、株主が出資した資本金や過去の利益の蓄積である内部留保の合計を指します。ROEが高いほど、企業は自己資本を効率的に活用して利益を上げていると判断されます。

ROE ＝ 当期純利益 ÷ 自己資本

また、一株当たり当期純利益 (EPS)と一株当たり純資産額 (BPS)を用いても表現可能で、その場合は以下のような数式になります。

ROE = 一株当たり当期純利益 (EPS) ÷ 一株当たり純資産 (BPS)

自己資本について会社四季報では「株主持分」と表記されているので注意が必要です。

ROEの分析手法

ROEは、以下の3つの要素に分解して分析することができます（デュポン分析）。

1. 売上高当期純利益率：企業の収益性を示す
2. 総資産回転率：企業の効率性を示す
3. 財務レバレッジ：企業の財務的な安定性を示す

これらの指標の関係は以下の通りです。

ROE ＝ 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

財務レバレッジは自己資本比率の逆数であり、負債を利用することでROEを高める効果があります。

ROEを向上させるための手段

ROEを向上させるためには、上記の3つの要素を改善する必要があります。具体的な手法としては、以下のものが挙げられます。

売上高当期純利益率の向上：高付加価値製品の開発、コスト削減など
総資産回転率の向上：売上高の増加、遊休資産の売却など
財務レバレッジの向上：負債の活用（ただし、過度な負債は財務リスクを高めるため注意が必要）

ROEの注意点

ROEは企業の収益性を示す重要な指標ですが、ROA（総資産利益率）と比較して、自己資本の効率性を見る指標であるため、負債の活用度合いによって大きく変動する点に注意が必要です。また、業種によって適切なROEの水準が異なるため、同業他社との比較も重要です。

まとめ

ROEは、企業の収益性を評価する上で欠かせない指標です。ROEを向上させることは、企業価値の向上に繋がります。経営者は、ROEを常に意識し、改善に向けて取り組む必要があります。投資家も、ROEを投資判断の材料として活用することで、より良い投資成果を得ることができます。

関連項目

総資産利益率 (ROA)
収益性分析
一株当たり当期純利益 (EPS)
負債比率
JPX日経インデックス400

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