自由インド仮政府

自由インド仮政府

自由インド仮政府（もしくは自由印度假政府、Azad Hind）は、1943年10月21日から1945年8月18日まで存在した、インド独立運動の一環として形成された政府です。この仮政府は、シンガポールにおいて日本の占領期間中に設立され、日本軍の管轄のもとでアンダマン諸島とニコバル諸島を統治しました。国の標語は「進め、デリーへ」で、国歌として「めでたき幸運」が用いられました。

歴史的背景

インドは1757年のプラッシーの戦い以降、イギリスの植民地としての影響を受けてきました。1858年にはイギリス領インド帝国が成立し、それに対抗する形でインド国内では独立運動が活発化しました。この運動は、インド本国から東南アジアへと広がり、ラース・ビハーリー・ボースやA.M.ナイルなどの活動家が日本に亡命し、独立運動を展開しました。

1941年12月の太平洋戦争勃発後、日本は東南アジアを占領し、1942年にはラース・ビハーリー・ボース率いる「印度独立連盟」とシンガポールやバンコクに拠点を置く別の「インド独立連盟」が合流し、新たに「インド独立連盟」が設立されました。ここで、インド国民軍が組織され、その指揮官として最初に日本軍に投降したモハン・シンが就任しました。しかし彼の指導力には限界があり、混乱が生じました。

仮政府の樹立

スバス・チャンドラ・ボースが仮政府の設立を提唱し、1943年10月21日、シンガポールで正式に仮政府が設立されました。この際、チャンドラ・ボースが国家主席兼首相に就任し、最高顧問としてビハーリー・ボースが任命されました。仮政府は自らを「戦闘組織」とし、イギリスとアメリカの帝国主義に対抗する形でインド独立を目指しました。仮政府設立時には、6人の大臣が任命され、チャンドラ・ボースが国防相も兼任しました。

しかし、インド国内では仮政府に対する支持は限られていました。インド独立運動の主導的な立場にあったマハトマ・ガンディーやネルーは、連合国の一員として参戦していたため、枢軸国側のイデオロギーに対する反発が強かったのです。そのため、仮政府に対するインド国内からの支持は得られにくかった。

政府の承認と日本との協力

自由インド仮政府は1943年10月24日に連合国に対してインド独立のための宣戦布告を行い、同年11月には大東亜会議にてボースがオブザーバー参加しました。その後、仮政府の本部はビルマのラングーンに移転し、インド国民軍はインパール作戦に参加しました。しかし、1945年8月15日に日本が連合国に降伏した結果、仮政府は自然解体の道をたどります。

解体とその後の影響

日本の降伏と同時にチャンドラ・ボースは航空事故により亡くなり、自由インド仮政府は終焉を迎えました。この仮政府の幹部は、戦後においても独立運動の英雄として高く評価され、特にビハーリー・ボースやチャンドラ・ボースはインドの独立に大きな影響を与え続けました。裁判においても自由インド仮政府は国際法上の正当性を主張し、最終的には釈放される結果となりました。

自由インド仮政府の経験は、後のインド独立運動にとって重要な意義を持ち、特にマレーシアやインドにおけるインディアン・コミュニティの政治的活動に影響を与えました。

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