自由土地党

自由土地党について

自由土地党（じゆうとちとう）は、19世紀の中頃、特に1848年から1852年にかけて活動した短命のアメリカ政党である。この党は、新しい西部領土における奴隷制度の拡大に反対することを主な目的としていた。これは、アメリカにおける第三政党制への移行の時期にあたるものだった。

形成と目的

自由土地党の形成は、1847年にニューヨーク州の民主党大会で奴隷制度拡大を認めない決定がなされた後のことだった。その際、反奴隷制度派の党員、通称「バーンバーナーズ」が大会を離脱し、新たな政党を必要とする声が高まった。彼らはホイッグ党や民主党から反奴隷制度の指導者たちと結集し、1848年の夏にニューヨーク州ユーティカとバッファローで党大会を開き、自由土地党を結成した。

党の指導者としては、元民主党大統領のマーティン・ヴァン・ビューレンと、チャールズ・フランシス・アダムズが選ばれた。彼らは、奴隷制度が自主的に選ばれるべきであり、自由な労働者が道徳的にも経済的にも優れているという主張を展開した。自由土地党は、奴隷制度が労働者の尊厳を傷つけ、社会の流動性を妨げている点に強い不満を持っていた。

主な政策

自由土地党は、福利厚生や社会的な正義を求める一方、西部の新しい土地における奴隷制度の導入を反対した。また、この党はホームステッド法の制定および歳入目的のみに使われる関税の導入も求めていた。彼らは、奴隷制度がもはや経済的に効率的でなく、時代遅れであると見なしていた。このため、奴隷制度の抑制を図り、最終的にはその廃止を目指すべきだとの立場をとった。

歴史的背景

1848年大統領選挙では、自由土地党は約10%の得票率を記録したが、選挙人は獲得できなかった。この背景には、ヴァン・ビューレンの指名によりホイッグ党から多くの反奴隷制度派が離れてしまったことがあった。1852年に行われた大統領選挙では、党の候補ジョン・ヘイルが支持を受けたものの、得票率は5%に低下。政治的な影響力は徐々に薄れていった。

党の消滅とその影響

1854年のカンザス・ネブラスカ法の成立により、再び奴隷制度を巡る議論が盛んになった。自由土地党に所属していた多くの人々は、共和党の結成に参加し、その流れの中で党は実質的に消滅した。自由土地党は、短命ながらも影響力を持ち、第三政党政治の重要な一翼を担ったことが評価される。

所属党員と遺産

自由土地党には、多数の著名な党員が所属していた。その中には、後にアメリカ合衆国の副大統領となるヘンリー・ウィルソンや、オハイオ州選出のサーモン・チェイスなどが含まれている。党は1848年の選挙で29万票を獲得したが、選挙人には届かなかった。この結果、自由土地党がその後の共和党結成に多大な影響を与えたことが後世に証明されている。

このように、自由土地党はアメリカの政治史の中で、奴隷制度に対抗する一つの重要な運動として位置づけられている。

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