自由新聞

自由新聞（じゆうしんぶん）について

自由新聞は、明治時代の政治情勢の中で自由党が発行した日刊の新聞です。この機関紙は、当時の政治における自由党の立場や意見を広めるために重要な役割を担いました。

創刊の経緯

自由新聞の始まりは1882年にさかのぼります。当時の日本では、板垣退助が自由党を結成しましたが、他の新聞社は主に立憲改進党や立憲帝政党の支持を受けており、自由党を支持するメディアはほとんど存在しませんでした。このような背景から、自由党の同志たちは資金を集めて独自の新聞を発行することを決定します。1882年6月25日、東京で自由新聞が創刊され、板垣が社長に就任しました。編集には名高い論客たちが関わり、発行部数は約3000部、定価は1部3銭でした。

難局と廃刊

しかしながら、自由新聞は厳しい資金調達の課題に直面しました。資本金は当初の見込みの2割程度しか集まらず、さらに明治政府による弾圧や内部の対立により深刻な打撃を受けました。特に、馬場辰猪や末広鉄腸、田口卯吉といった主要メンバーの退社は自由新聞に暗い影を落としました。古沢滋と星亨が努力して再建を試みましたが、自由党自体が解党されることとなり、1885年3月に自由新聞も廃刊となってしまいました。

再建と再度の廃刊

時が経ち、1890年10月には自由党が再建されると同時に自由新聞も再発行されます。しかし、党内での分裂騒動が続く中、社主である板垣が反主流派に追い込まれ、再度新しい機関紙の創設を決断しました。この結果、自由新聞は1891年3月に再度廃刊となり、同年4月には板垣らが新たに創刊した『自由』が発行されます。

名称変更と衰退

その後、『自由』は分裂騒動が収束することで1893年7月に自由新聞と改題されます。しかしながら、1897年1月には『明治新聞』へと名称が変更され、自由党の方針からも次第に離れていく運命をたどりました。

付関連項目

自由新聞には、関連する活動や人物も存在します。その一つが「絵入自由新聞」で、これは自由党の主義主張を広めることを目的に1882年9月1日に創刊された新聞です。また、自由新聞には早稲田大学名誉教授の増田藤之助が客員として論説や翻訳を執筆しており、彼の活動も当時の自由新聞にとっての重要な一面といえるでしょう。

自由新聞は、その短い歴史の中で明治時代の政治や社会の変遷を映し出し、多くの論客や支持者によって形成されていった重要な媒体でした。

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