自由青年連盟

自由青年連盟（じゆうせいねんれんめい）

自由青年連盟は、大正時代に長野県下伊那地域を中心に活動した社会主義青年団体です。大正デモクラシーの影響下、既成の青年団組織の民主化を求める動きから発展し、社会主義思想を掲げ、労働運動や普通選挙運動を積極的に展開しました。

歴史

結成の背景

大正デモクラシーの時代、長野県下伊那郡鼎村（現在の飯田市）において、羽生三七と代田茂は、従来の青年団長が校長や村長などの有力者によって占められていた状況に対し、一般の青年団員から選出されるべきであるという「自主化」を志向しました。彼らは次第に社会問題に関心を深め、1922年3月には早稲田大学文化会の社会問題講習会に参加し、山川均らから社会主義理論を学びました。帰郷後、彼らは近隣町村の青年を集め、同年5月に「下伊那文化会」を結成します。同年9月24日には、より大衆的な組織として「自由青年連盟」が創立されました。

綱領と組織

自由青年連盟は、「新興階級（無産階級）の歴史的使命（社会主義革命）の遂行」「青年会員の思想転換」「資本家と無産者の対立矛盾の最後の帰結を一般会員に知らせる」という綱領を掲げました。これは、社会主義革命を目標とし、会員の思想的啓蒙と、資本主義社会における階級対立の解消を目指すものでした。1923年1月13日には、幹部18名が「カール記念の日」の準備のために集まり、社会革命遂行を期して規約を決定し、「下伊那文化会」をLYL（Liberal Younger's League）に改組しました。羽生三七、今村邦夫、山田亮一が執行委員に選出され、会員数は200名に達しました。

社会運動と弾圧

自由青年連盟は、1923年2月には下伊那郡青年会や南信壮年団、天竜労働団などと共同で、治安維持法の原型となった過激社会運動取締法案に反対し、普通選挙の即時実現を求めるデモを行いました。また、同年4月20日には機関誌『第一線』を創刊し、7号まで発行しましたが、すぐに発禁処分を受けました。さらに、飯田新聞印刷工組合友誼会を設立し、労働運動を指導するなど、活発な活動を展開しました。同年5月のメーデー後、代田茂らは京都で開催された全国無産青年大会に出席し、全国的なネットワークを築きました。

弾圧とその後

1924年3月17日、自由青年連盟の会員19名が治安警察法違反で検挙されました。この事件は「長野青年共産党事件」として報道され、日本共産党の検挙後、地方共産党組織として取り締まられたとされました。治安維持法の制定を推進するための根拠としても利用されました。これを機に、特別高等警察が長野県にも設置されました。同年10月21日には結社禁止命令を受け、4か月の予審を経て、7月に出所しました。多くのメンバーが上告し法廷闘争に臨みましたが、1925年には大審院で上告が棄却され、実刑が確定した6人が服役しました。出所後、病気療養に入った羽生三七を除く5名は、1926年に「信州大衆新聞」を創刊し、1939年の新聞統合まで活動を続けました。

活動の継続

残されたメンバーは、北原亀二を代表とする政治研究会下伊那支部を結成し、運動を継続しました。彼らは、文書活動や郡青年会との共催講演会を中心に活動し、反軍国主義や青年教育の自由化を訴えました。また、製糸女工、下級軍人、小学校教員、小作人組合など、多様な層への働きかけも行いました。

まとめ

自由青年連盟は、大正デモクラシーの時代に、社会主義思想を掲げて社会変革を目指した青年たちの熱意と行動を象徴する存在です。彼らの活動は、その後の日本の社会運動に大きな影響を与えました。弾圧を受けながらも、その精神は後世に受け継がれ、社会変革への灯をともし続けました。

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