自衛隊ルワンダ難民救援派遣

自衛隊ルワンダ難民救援派遣

1994年、ルワンダ内戦によって大量の難民が発生し、周辺国に避難しました。この難民危機に対応するため、日本は自衛隊を派遣し、国際的な人道支援活動を行いました。

派遣の経緯

国際平和協力法に基づき、国連のPKO活動として自衛隊が派遣された事例はありましたが、今回の派遣は国連の枠組みではなく、日本が主体となって行う初の国際人道救援活動でした。ルワンダ内戦で発生した難民は、ザイール（現コンゴ民主共和国）やケニアなどに逃れており、その衛生環境は極めて劣悪な状況でした。そのため、日本はザイールとケニアに自衛隊部隊と連絡調整員を派遣し、国連[[難民高等弁務官事務所]]（UNHCR）などと連携しながら、医療、防疫、給水、空輸などの活動を展開しました。

派遣された部隊は、先遣隊23名、ルワンダ難民救援隊260名、空輸派遣隊118名で構成されていました。

難民救援隊の活動

難民救援隊は、これまでの自衛隊海外派遣での拳銃や小銃に加え、機関銃1挺と82式指揮通信車1両の装備が認められました。しかし、機関銃の携行は、自衛隊の海外での武力行使やPKO協力法の適用範囲を超えると国会で議論を呼びました。現場からの「360度警戒には2丁必要」という訴えに対し、当時の与党であった日本社会党が「過剰武装」と反対したため、機関銃は護身用として1挺のみの携行となりました。

難民救援隊の宿営地付近では夜間に銃撃事件が発生し、土嚢を積むなどの対策が講じられました。ゴマにキャンプを設営し、野外手術システムや医療用テントを持ち込み、エイズ感染のリスクを抱えながら医療活動を行いました。

また、現地で活動していた日本人医療NGO（AMDA）の構成員が武装集団に襲撃された事件では、難民救援隊現地指揮官の判断により、陸上自衛隊の警護小隊約20名がNGO構成員の輸送を行いました。この活動は事実上の自国民救出であり、部隊は小銃、機関銃、防弾チョッキ、防弾ヘルメット、装甲車で武装していました。この状況は国際平和協力法や実施計画には明記されていなかったため、マスコミから批判を浴びました。しかし、部隊を指揮した神本光伸氏は、「自国民を救助して批判されたのが辛かった」と述べています。

元国連難民高等弁務官の緒方貞子氏は、自衛隊の活動を「現地の人々から大変感謝された活動だった」と評価しています。

空輸派遣隊

空輸派遣隊は、ナイロビからゴマまでC-130輸送機による輸送業務を担当しました。日本からナイロビへの物資輸送には、初めてAn-124輸送機がチャーターされました。

部隊の成果

ルワンダ難民救援隊

外来患者の診療：延べ約2,100名
手術：約70件
給水量：計約7万トン

空輸派遣隊

輸送人員：延べ約3,400名
輸送貨物：計約510トン

参考文献

神本光伸『ルワンダ難民救援隊　ザイール・ゴマの80日』内外出版。ISBN 978-4-931410-10-7

関連項目

ルワンダ愛国戦線
自衛隊海外派遣
自衛隊ペルシャ湾派遣
自衛隊カンボジア派遣

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