82式指揮通信車

82式指揮通信車

82式指揮通信車（はちにいしきしきつうしんしゃ）は、日本の陸上自衛隊において1970年代に開発が始まり、1983年から本格的に配備された装輪装甲車です。この車両は、指揮通信機能に特化した設計がされており、類似の装甲車両とは異なるコンセプトで開発されました。

概要

この車両は、防衛省により「CCV（Command Communication Vehicle）」と呼ばれ、公式愛称は「コマンダー」です。自衛隊内では「指揮通信車」や「シキツウ」と呼ばれています。112両が1999年まで製造され、配備先としては、師団司令部や特科連隊本部、普通科連隊本部など多岐にわたります。

開発背景

陸上自衛隊では、伝統的に戦闘車両には装軌式が優先されてきましたが、悪路での機動性を向上させるため、1974年に防衛庁は装輪式の開発を決定しました。試験を経て、三菱重工業と小松製作所の共同で新型指揮車の試作が行われ、最終的に82式指揮通信車が制式採用されました。

特徴

82式指揮通信車は、3軸6輪駆動の装輪式であり、悪路走破性に優れています。前2軸はリンケージ・ステアリング方式を採用しており、変速機は6段の前進と1段の後進に加え、副変速機が2段装備されています。また、水深1メートル程度の渡河能力も持っています。

操縦室は防弾ガラスにより視界を確保しており、内部にはハッチが設けられています。指揮通信要員は後部に配置され、6名が搭乗可能です。車体は高張力鋼で構成され、横ヒンジ式のドアが両側に設けられています。これにより、外部に擬装網を展張することができ、柔軟な指揮通信スペースを確保できます。

また、武装としては5.56mm機関銃MINIMIを搭載することが可能です。サイドウォール強化型コンバットタイヤを装備しており、不整地における機動性も向上していますが、冬期間の足回りに関してはスタッドレスタイヤが無く、チェーンを用いる必要があります。

配備と運用

82式指揮通信車は、平時からの演習や災害派遣、そして有事における情報通信活動に利用されてきました。近年は情報量の増加やデジタル技術の進化に伴い、車内の設計に対する需要が高まっています。指揮通信要員が持ち込む携帯式のパソコンなどの設備が増える中、車内は圧迫感が出てきたため、いくつかの部隊では96式装輪装甲車への移行が進んでいます。

将来の展望

82式指揮通信車は、未だ現役の装備として使用されているものの、将来的には新しい装輪戦闘車両の開発が進められています。これにより、より高機能でコンパクトな指揮通信車両が期待されています。

文化的影響

映画やアニメの中でも82式指揮通信車は数多く登場し、特に『ゴジラシリーズ』で目にすることができます。その活躍はファンの間でも広く知られており、日本の防衛技術の象徴として位置づけられています。

このように82式指揮通信車は、陸上自衛隊の指揮通信を支える重要な役割を果たしており、今後もその進化が期待される装備です。

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