臭化水素

臭化水素（HBr）

概要

臭化水素は、水素（H）と臭素（Br）が結合した化合物で、化学式はHBrです。この物質はハロゲン化水素の一種であり、標準状態では無色の刺激臭を持ち、気体として存在します。液化することもでき、水に溶かすと臭化水素酸と呼ばれる強酸を生成します。法律的には劇物に分類されており、取り扱いには注意が必要です。

用途

臭化水素は、その多様な化学的特性から、さまざまな用途に用いられています。例えば、アルコールと反応させることでブロモアルカンを生成します。これは、以下の反応式で示されます。

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ROH + HBr → RBr + H2O
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さらに、アルケンと反応させることで、ブロモアルカンが得られることも知られています。

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RCH=CH2 + HBr → RCH(Br)CH3
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アルキンとの反応では、ブロモアルケンが生成されます。この反応は通常、アンチ型の立体化学を持ちます。

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RC≡CH + HBr → RC(Br)=CH2
```

また、ハロアルケンへの付加反応ではgem-ジハロアルカンが生成され、マルコフニコフ則に従って反応が進行します。

```
RC(Br)=CH2 + HBr → RC(Br2)CH3
```

加えて、エポキシドやラクトンの開環、ブロモアセタールの合成など、さまざまな有機反応において触媒としても利用されます。

合成法

実験室規模

臭化水素の合成方法はいくつか存在します。基本的な方法の一つに、硫酸と臭化ナトリウムを反応させる手法があります。

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NaBr + H2SO4 → NaHSO4 + HBr (g)
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また、テトラリン（1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン）の臭素化や、水素と臭素の反応も臭化水素を生成します。

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Br2 + H2 → 2 HBr
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その他にも、亜リン酸を用いた還元反応などが考えられます。

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Br2 + H3PO3 + H2O → H3PO4 + 2 HBr
```

無水の臭化水素は、小スケールでトリフェニルホスホニウムブロミドを加熱することで得られますが、生成物には不純物が含まれることがあります。これらは、特定の処理過程で除去可能です。

工業規模

工業的には、臭化水素やその酸の製造は塩化水素や塩酸と比較して小規模です。初期の製造法は、高温（水素と臭素の反応を200〜400℃の範囲で行う方法）であり、この過程において触媒として白金やアスベストが使用されます。

臭化水素酸

臭化水素は水に非常に溶解しやすく、水溶液は臭化水素酸と呼ばれます。一般的な市販品は約48％の濃度（d=1.48g/cm³）であり、医薬用外劇物として指定されています。また、水に溶けると大きな熱を発生する特性があり、これはハロゲン化水素の中で最大です。

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HBr(g) ⇌ H+(aq) + Br−(aq)
```

反応のエンタルピー変化は−85.15 kJ/molと計算されています。

臭化水素酸は強い1価の酸であり、一部の条件下では酸化されることがあり、反応の場面で注意が必要です。水溶液中の酸解離定数は直接的には測定できませんが、熱力学的な手法でpKaは−9と推定されています。

関連項目

• - ハロゲン化水素
• - 強酸

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