至聖廟

久米至聖廟の概要

久米至聖廟（くめしせいびょう）は、沖縄県那覇市の松山公園内に位置する孔子廟です。ここでは、孔子の他に四配（顔子、子思、曾子、孟子）の像も祀られています。この廟は、沖縄における儒教の重要な拠点として、地域の人々に親しまれています。

歴史的背景

久米至聖廟の歴史は17世紀初頭にさかのぼります。久米三十六姓の人々によって儒教の祭典が盛大に行われ始めましたが、その正式な建立は、尚貞王の時代である1676年に実現しました。当初は那覇泉崎に建立され、戦前までその威厳を誇っていました。しかし、1945年の沖縄戦で焼失し、その後の道路拡張工事により、元の位置での再建が不可能になりました。

1975年には、那覇市若狭の波上宮近辺に再建され、天尊廟と共に新たな場所で儒教の精神を受け継ぐこととなりました。その後、2013年に現在の松山公園に設置され、現在に至ります。久米三十六姓の子孫たちで構成された「久米崇聖会」が、廟の維持管理を担っています。

政教分離訴訟

久米至聖廟に関しては、紀年576万円の土地使用料が無償とされている背景があります。これは市が同廟を地域振興のための体験学習施設に位置付けたためですが、保守系市民団体「住みよい那覇市をつくる会」からは、儒教の普及を目的とした施設であり、政教分離に反するとして訴訟が提起されました。

市側は、儒教はあくまで宗教ではなく、哲学であると反論し、裁判が続けられました。2018年には那覇地方裁判所と福岡高等裁判所那覇支部が相次いで違憲判決を下しました。しかし、徴収すべき金額に関しては市の裁量に委ねられています。最終的には2021年2月24日に最高裁判所が、利用実績からこの施設が宗教的性格が強いとし、再び違憲判決を出しています。

施設の構成

久米至聖廟内には、以下のような主要な施設があります：

• - 大成殿: 至聖廟の本殿で、孔子とその高弟たちを祀っています。
• - 明倫堂: 教育に関する重要な施設です。
• - 天尊廟: 天を祀る場所で、エネルギーを伝える神聖な空間です。
• - 天妃宮: 天妃信仰を持つ人々にとって重要な拠点です。
• - 程順則頌徳碑: 儒教の教えを称賛する碑です。
• - 蔡温頌徳碑: また、地域の歴史にかかわる重要な教えが記されています。
• - 中山孔子廟建立碑: この廟の設立の歴史を物語る碑です。
• - 管理事務所: 廟の運営と管理を行う場所です。
• - 至聖門: 廟の入り口として、訪れる人々を迎えます。

歴史的な価値、政治的な背景、地域社会への影響を持つ久米至聖廟は、今後も沖縄の文化と歴史を継承していく上で重要な役割を果たしていくと考えられます。

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