興亜観音・殉国七士之碑爆破事件

興亜観音・殉国七士之碑爆破事件

1971年12月12日に発生した興亜観音・殉国七士之碑爆破事件は、後に東アジア反日武装戦線と名乗るグループによる最初の事件です。この事件は、彼らが本格的な爆弾テロへと向かう前段階として、爆弾製造技術の腕試しを兼ねて実行されました。

事件の背景

東アジア反日武装戦線は、「日本帝国主義」の象徴と見なしたものを爆破することを計画しました。標的となった興亜観音は、「南京大虐殺の張本人」とされた松井石根陸軍大将が建立した観音像であり、殉国七士之碑は松井を含むA級戦犯の刑死者を祀る祈念碑でした。これらの理由から、両施設が標的として選ばれました。

事件の経過

1971年10月頃から準備が開始されましたが、同時期に共産主義者同盟蜂起派による都内連続交番爆破事件が発生。これにより、彼らは自分たち以外にも爆弾闘争を行うグループの存在に勇気づけられる一方、警察の警戒が厳重になったため、慎重な行動が求められるようになりました。

12月12日、大道寺将司、益永利明、Fの3人は、鉄パイプ爆弾と消火器爆弾を携えて現地へ向かい、興亜観音には鉄パイプ爆弾、殉国七士之碑には消火器爆弾を設置。さらに、両施設の間にあった「大東亜戦殉国戦死一〇八八霊位供養碑」にも鉄パイプ爆弾を取り付け、午後10時に爆発するように設定しました。その結果、殉国七士之碑の破壊には成功したものの、興亜観音に取り付けた爆弾は不発に終わり、供養碑については一部を損傷するにとどまりました。

事件の影響

事件直後は、都内連続交番爆破事件の方が注目を集め、彼らの事件は目立ちませんでした。しかし、その後の東アジア反日武装戦線の検挙によって、この事件も注目されるようになりました。

この事件は、東アジア反日武装戦線による一連の企業爆破事件へと繋がる、重要な出来事となりました。彼らの思想と行動は、当時の社会に大きな衝撃を与え、現在でも議論の対象となっています。

参考文献

松下竜一『狼煙を見よ : 東アジア反日武装戦線“狼”部隊』
『戦後ニッポンを読む』読売新聞社、1997年、ISBN 4-643-97116-9
『松下竜一その仕事22』河出書房新社、2000年、ISBN 4-309-62072-8

関連項目

日本の新左翼

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