日本帝国主義

日本帝国主義とは

日本帝国主義（にほんていこくしゅぎ）とは、一般的に明治維新から日本の降伏までの期間における、日本がとった帝国主義的な政策やその思想を指す言葉です。略称として「日帝」とも呼ばれます。

概要

「帝国」とは、複数の民族や国家を包含する広大な領域を統治する国家を指し、「帝国主義」とはそのような国家を目指す思想や政策、体制のことです。ウラジーミル・レーニンの帝国主義論では、帝国主義は資本主義の最終段階と定義されています。

日本は明治維新後、西欧列強に追いつくため、富国強兵と殖産興業を推し進め、欧米列強の植民地政策に倣い帝国主義的な政策を推進しました。これにより、日清戦争、日露戦争、韓国併合、第一次世界大戦などを経て、台湾、朝鮮、関東州、南洋群島などを支配下に置きました。

これらの地域では同化政策が実施され、満州事変や日中戦争（支那事変）、太平洋戦争勃発の頃には、大東亜共栄圏や八紘一宇を掲げ、皇民化教育が行われました。これらの時代は、大韓民国などでは「日帝時代」とも呼ばれています。

第二次世界大戦後の日本に対して、「日本帝国主義」や「日帝」という言葉は、特に韓国や中国において、日本の軍国主義復活への警戒や戦後処理の不十分さに対する批判として使われています。これらの地域では、反日感情の根底に、この歴史的な背景が存在します。

また、日本共産党などの一部は、第二次世界大戦終結までの日本を「日本帝国主義」と定義しています。しかし、戦後の日本に対する認識は、マルクス・レーニン主義党派間でも異なり、アメリカ合衆国への従属からの自立を主張する二段階革命論と、日本帝国主義の復活を警戒し直接的な社会主義革命を目指す一段階革命論とで意見が分かれています。

関連書籍

「日本帝国主義論」（服部之総、福村出版、1974年）
「日本帝国主義 1894‐1945 ― 居留地制度と東アジア ―」（W.G.ビーズリー、岩波書店、1990年）
「日本帝国主義の経済政策」（後藤靖、柏書房、1991年）
「日本帝国主義史研究」（江口圭一、青木書店、1998年）
「日本帝国主義の形成」（井上清、岩波書店、2001年）
「日帝時代, わが家は」（羅英均、みすず書房、2003年）
「日本帝国主義下の植民地労働史」（松村高夫、不二木書店、2007年）

関連項目

日本軍国主義
覇権主義
植民地#日本
日本統治時代の台湾
日本統治時代の朝鮮
皇国史観 - 皇民化教育 - 八紘一宇
日本の戦争犯罪
極東国際軍事裁判
日本の戦争賠償と戦後補償
日本の戦後補償条約一覧
天皇制ファシズム
アメリカ帝国
日帝本国人
* 社会帝国主義

もう一度検索