興俊尼

興俊尼について

興俊尼（こうしゅんに、生年1551年 - 没年1623年）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した女性で、奈良にある興福院の住持でした。彼女は豊臣秀長の側室であったとされていますが、その真実については異なる見解も存在します。彼女の俗名はお藤であり、法名は光秀尼とも呼ばれました。

家族背景と生い立ち

興俊尼の父親は大和の国人である秋篠伝左衛門、母親は同じく大和の国人の鷹山頼円の娘でした。興俊尼についての記録は『奈良名所八重桜』に見られ、彼女は元々法華寺の比丘尼であったとされています。その後、法華寺を訪れた秀長によって見初められ、城に引き入れられることになります。この出会いから一夜を過ごした後、興俊尼は寺に戻されることになりました。

興俊尼は不犯の戒律を破ったことから、母方の伯母が住職を務める弘文院（後の興福院）に身を寄せました。やがて懐妊の兆しが現れると、彼女は縁家の菊岡宗政の屋敷に移され、そこのおきくを出産しました。事情を知った秀長はお藤を郡山城に迎え入れ、彼女はその後、還俗して新たな名前を得ました。

おきくとその後

興俊尼が郡山城に入る時期は、娘のおきくが天正19年（1591年）1月に4、5歳であったことから、天正15年（1587年）頃と推測されます。また、おきくは天正19年1月13日に秀長の養子である秀保と仮祝言を交わし、後に正式な祝言を挙げました。おきくは後に大善院と呼ばれ、毛利秀元に嫁いだ後、享年22歳でこの世を去りました。

興俊尼の人生には他にも多くの動きがあり、秀長やその養子の秀保も早世します。特に秀長は1591年に亡くなり、その養子である秀保も数年後に病死し、興俊尼の父伝左衛門も1592年に75歳で他界しました。

興福院の再興

興俊尼が住持を務めた興福院は、元々廃寺となっていましたが、心慶尼や光秀尼、時には興俊尼と興秀尼が、豊臣秀長または秀吉からの寄進によって復興を果たしました。以後、興福院は衰退を経験しますが、寛永13年（1636年）に光心尼の努力によって、3代将軍・徳川家光から再び寺領200石を得て復活を果たします。光心尼は興俊尼の従姪にあたると言われています。

寛文5年（1665年）には4代将軍・家綱から寺地を与えられ、興福院は奈良市の尼辻町から法蓮町へと移転します。

最期と legacy

興俊尼は元和8年12月8日（1623年1月8日）に亡くなります。彼女が住持を務めた興福院の旧地には、彼女の名を刻んだ五輪墓碑が残されています。興俊尼の人生は、戦国時代の女性としての生き様を物語る重要な歴史的記録となっています。彼女の存在は、当時の豊臣政権と女性の関わりを知る手がかりを提供しているのです。

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