興浜南線

北海道のローカル線、興浜南線の歴史：開業から廃止まで

興浜南線は、かつて北海道北部に存在した国鉄の地方交通線です。名寄本線から分岐し、興部駅から雄武駅までを結んでいました。全長19.9kmの短い路線でしたが、沿線地域住民の生活や産業に深く関わっていました。

開業までの道のり

興部と雄武の間は、道路事情が悪く、特に融雪期や雨期には農産物や水産物の輸送に大きな支障をきたしていました。この問題を解決するため、興部から浜頓別までの鉄道敷設が計画され、1922年の鉄道敷設法にも盛り込まれました。しかし、予算不足などの問題により着工は遅れ、1933年春に着工、1935年9月15日、興部駅～雄武駅間が開通しました。当初の目的は、沿線の漁業や林業の発展に貢献することでした。

戦時中の休止と再開

太平洋戦争の勃発により、1944年10月5日、興浜南線は不要不急線に指定され、同年11月1日から営業を休止しました。線路の一部は樺太への転用が計画されていましたが、終戦によって計画は中止され、1945年12月5日に営業を再開しました。再開後は、通学生や鮮魚輸送などで利用され、活況を呈しました。

最盛期から衰退へ

1950年代前半は興浜南線の最盛期でした。しかし、1950年代後半からは、モータリゼーションの進展や人口減少などにより、利用客と貨物量は減少の一途を辿りました。合理化のため、各駅の管理を興部駅に集約するなどの対策も行われました。それでも、赤字経営は続き、1960年には雄武駅から北見枝幸方面への延伸が決定しましたが、1970年代には年間輸送人員が最盛期の半分以下にまで落ち込みました。

廃止への流れ

1970年代後半には、赤字問題が深刻化し、1977年には延伸工事は中止されました。1981年には、「オホーツク本線敷設構想」が持ち上がりましたが、その直後、興浜南線は第1次特定地方交通線に指定され、廃止が決まりました。その後も存続運動が行われましたが、利用客の減少と赤字の拡大は止まりませんでした。1984年には貨物輸送が廃止され、1985年7月15日、50年に及ぶ歴史に幕を閉じました。

路線データと駅一覧

管轄: 日本国有鉄道
区間: 興部駅 - 雄武駅 (19.9km)
駅数: 6駅（起点駅を含む）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）
閉塞方式: タブレット閉塞式
* 交換可能駅: なし（全線1閉塞）

駅一覧は、廃止時点のものです。

まとめ

興浜南線は、地域の交通を支え、発展に貢献した路線でした。しかし、時代の変化に対応できず、廃止という結末を迎えることになりました。興浜南線の歴史は、地方交通線の盛衰と、モータリゼーションの進展による社会変化を象徴する事例と言えるでしょう。興浜南線の廃止後、路線は北紋バスに転換されました。

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