名寄本線

名寄本線：北海道の鉄路を彩ったローカル線の歴史

名寄本線は、かつて北海道に存在した、日本国有鉄道（国鉄）および北海道旅客鉄道（JR北海道）が運営していた地方交通線です。宗谷[[本線]]の名寄駅を起点とし、下川町、西興部村、興部町、紋別市などを経て石北本線の遠軽駅に至る本線と、中湧別駅から湧別駅へと至る支線で構成されていました。

路線概要

本線: 名寄駅 - 遠軽駅 (138.1km)
支線: 中湧別駅 - 湧別駅 (4.9km)

本線は、道央とオホーツク海沿岸を結ぶ役割を担い、地域住民の生活を支える重要な路線でした。しかし、国鉄再建法の施行により、1989年5月1日に全線が廃止されました。特筆すべきは、廃止された特定地方交通線の中で唯一の「本線」であった点と、2024年現在、「本線」を名乗るJR線で全線が廃止された唯一の路線であるという点です。

路線データ（廃止時）

管轄: 北海道旅客鉄道（JR北海道）
営業キロ:
本線: 138.1 km
支線: 4.9 km
駅数: 40駅（起終点駅含む）
軌間: 1,067mm（狭軌）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）
閉塞方式:
本線: タブレット閉塞式
支線: スタフ閉塞式
交換可能駅: 8駅

運転状況

1989年3月の廃止直前のダイヤ改正時点では、普通列車のみが運行していました。しかし、一部の列車は主要駅を通過し、旭川方面への直通列車は宗谷[[本線]]内で快速として運転されていました。列車本数は遠軽駅に向かうほど多く、1～3時間に1本程度の間隔で運行されていました。

優等列車の歴史

かつては、急行「紋別」や準急「天都」など、優等列車も運行していました。しかし、時代の流れとともに優等列車は廃止され、最終的には普通列車のみが運行する路線となりました。

1962年：急行「紋別」、準急「旭川」「天都」運転開始
1968年：急行「オホーツク」運転開始
1972年：急行「オホーツク」が「大雪」に名称変更
1980年：急行「天都」廃止
1986年：急行「紋別」廃止

歴史

名寄本線のルーツは、1915年に湧別軽便線の一部として開通した区間に遡ります。その後、名寄線として名寄方面からも建設が進められ、1923年に名寄本線として統合されました。

1915年: 湧別軽便線が開業
1919年-1921年: 名寄線が開通
1923年: 名寄本線に改称
1932年: 湧別線が名寄本線に編入
1985年: 第2次特定地方交通線として廃止承認
* 1989年: 全線廃止

第三セクターでの部分存続案

廃止直前には、名寄駅 - 下川駅間と紋別駅 - 遠軽駅間を第三セクター化して部分存続させる案が検討されましたが、財政的な負担が大きく、実現には至りませんでした。

廃止とその後

最終的に、1989年5月1日をもって名寄本線は全線が廃止され、バス路線に転換されました。現在では、名士バス、北紋バス、北海道北見バス、湧別町営バスなどが、かつての名寄本線の沿線を運行しています。

登場作品

名寄本線を舞台にした作品としては、テレビドラマ「放浪-さすらい-」や、国鉄の鉄道100年記念事業の一環として製作された「吹雪の名寄本線 天北峠に挑む9600」などがあります。

名寄本線は、その歴史の中で、北海道の地域交通を支え、多くの人々の生活に深く関わってきました。廃止後も、その存在は、人々の記憶の中に生き続けています。

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