鉄道敷設法

鉄道敷設法について

鉄道敷設法は、日本における鉄道の建設計画を定めるために制定された法律です。この法律は、1892年（明治25年）6月に公布された初版と、1922年（大正11年）に改正された新法で構成されています。最初の法律は、国が定めた鉄道路線の敷設を目指しましたが、経済的利権を持つ民間の存在から、すぐに実質的な変更が行われました。最終的には1987年に法律が廃止されました。

鉄道敷設法の歴史

初版である1892年の法律では、北海道を除く地域の33路線が予定されており、その後、法律は複数回の改正を経てきました。特に1922年の改正では、政府が地方路線へも配慮した形で、149路線を追加することになりました。

この法律は、当初の発案者である鉄道庁長官の井上勝の意向に基づいて、国土幹線の鉄道がすべて国営であるべきだとの考えが盛り込まれています。しかし、帝国議会は多くが民営鉄道の株主であったため、実際には民営鉄道による建設を認める修正が加えられました。井上勝は、この妥協に失望して辞任しましたが、後に民営鉄道の大部分が1906年に国有化されることとなりました。

予定線の指定

鉄道敷設法は、建設すべき鉄道路線を33区間で一括して指定し、その中から特に重要な9区間を「第一期」として、12年以内の建設を義務付けました。新たな路線の追加や、既存路線の昇格はすべて帝国議会の協賛による法改正が必要であり、資金は鉄道公債によって賄われました。第1次桂内閣の時に一般会計からの支出が認められ、その条件付きで民営鉄道の建設も進められました。

しかし、法律に指定された路線の多くは幹線であったため、地方路線についての整備が遅れました。この問題に対し、1910年施行の軽便鉄道法が適用され、地元の需要に応じた軽便鉄道の敷設を可能としました。

改正とその影響

1920年には、新たに鉄道省が発足し、鉄道敷設法の枠組みだけでは充分な整備ができないことが明らかになりました。そこで、1922年に改正鉄道敷設法を制定し、旧法を廃止しました。この新法では、地方路線をすべて予定線として取り込み、全国的な鉄道網の充実を図ることが目的となりました。

この改正法により、149路線が予定線として掲げられ、ローカル線の建設や省営バスの法的根拠としても機能しました。さらに、当時の政治的な影響力が強く、追加された路線はあっても削除されたものは一切ありませんでした。

最終的には1987年の国鉄改革法の施行に伴い、鉄道敷設法は完全に廃止されることとなりました。その後は、JRバス各社が運行する鉄道先行バス路線が残されたものの、利用者が少ない路線は廃止され、新たに民間バス会社に譲渡されることもありました。

まとめ

鉄道敷設法は、長い間日本の鉄道網を支える重要な基盤となっていましたが、法律の改正や環境の変化により、その役割を終えることとなりました。この法律の歴史からは、鉄道と政治の関わりや、国と民間との関係性の変遷が見て取れます。

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