舞鶴橋 (大分市)

舞鶴橋（まいづるばし）

大分県大分市の中心部を流れる大分川に架かる舞鶴橋は、主要な幹線道路である国道197号の一部を担う、地域交通の要衝です。橋の名称は、建設地点である大分川の左岸に位置する地域名から名付けられました。

歴史と変遷

舞鶴橋の歴史は、明治時代に遡ります。1876年（明治9年）、現在の大分と佐賀関を結ぶ愛媛街道が開通した際、大分川には現在の舞鶴橋よりも少し上流の地点に、木造の津留橋が架けられました。この津留橋は、やがてその景観の美しさからか、地域の人々に「舞鶴橋」という愛称で親しまれるようになりました。

橋の歴史において大きな転換点となったのは、1953年（昭和28年）6月26日に発生した西日本水害です。梅雨前線による記録的な豪雨は、大分川を増水させ、当時架かっていた舞鶴橋を含む複数の橋（鶴羽橋など）を流失させてしまいました。特に深刻だったのは、川の右岸に位置する大分市津留地区がこれにより孤立したことです。この地区には約500世帯の住宅があり、また、二つの高等学校と一つの中学校も存在していたため、日常生活や教育活動に大きな影響が出ました。迅速な交通の復旧が喫緊の課題となり、大分川の分流である裏川に木造の仮設橋「下津仮橋」が急ピッチで架けられ、滝尾橋を経由して市内中心部との交通網が暫定的に回復されました。

水害で失われた橋に代わる新たな舞鶴橋は、鉄筋コンクリート構造として計画され、1954年（昭和29年）10月6日に無事竣工しました。当初の計画では橋の幅員は9メートルとされていましたが、当時の大分市長であった上田保氏は、将来的な交通量の増加を見越して、直接建設省に働きかけを行いました。その結果、設計が変更され、最終的には15メートルという広めの幅員で建設されることになりました。これは、当時の行政トップの先見性と熱意が、後の橋の機能性を大きく左右したエピソードとして語られています。

その後、高度経済成長に伴う自動車社会の到来により、国道197号の交通量は著しく増加しました。15メートルの幅員では増大する交通量に対応しきれなくなり、舞鶴橋は慢性的な渋滞を引き起こすネックとなっていました。この状況を改善するため、1975年（昭和50年）には橋の大規模な拡幅工事が実施されました。この工事によって、橋の幅員はそれまでの15メートル（車道10メートル、両側の歩道がそれぞれ2.5メートル）から20メートル（車道13メートル、両側の歩道がそれぞれ3.5メートル）へと広げられ、車線数も従来の2車線から4車線へと倍増されました。この拡幅により、舞鶴橋の交通容量は大幅に向上し、大分市中心部の円滑な交通に寄与することとなりました。

現在、舞鶴橋は建設から半世紀以上が経過していますが、その頑丈な構造と拡幅された幅員により、大分市における国道197号の主要な通過点として、日々の多くの交通を支え続けています。

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