上田保

上田保：大分市の復興と発展に尽力した「アイデア市長」

上田保（うえだ たもつ、1894年8月25日 - 1980年6月6日）は、日本の弁護士、政治家であり、初代から第4代の大分市長を務めた人物です。大分市の復興に大きく貢献し、「アイデア市長」として市民に親しまれました。

生い立ちと弁護士としての活躍

1894年、上田保は大分県大分郡豊府村（現在の大分市畑中）で生まれました。和仏法律学校（現在の法政大学）で法律を学び、27歳で弁護士試験に合格。1929年には法律案内書「趣味の法律」を出版し、ベストセラーとなりました。

大分市長としての功績

第二次世界大戦後、上田保は大分に帰郷し、1947年に初代の公選大分市長に当選。その後4期連続で市長を務めました。戦災により復興が遅れていた大分市を、独創的なアイデアでわずか5年でほぼ復興させたことは特筆に値します。

主な復興事業

大分港臨港線の設置: 日豊本線西大分駅付近から大分港へと至る臨港線を設置し、物流の効率化を図りました。
大道トンネルの建設: 大分市大道と南大分を結ぶ国道210号の大道トンネルを建設し、交通の円滑化に貢献しました。
大分鉄道管理局の誘致: 大分鉄道管理局（現九州旅客鉄道大分支社）を誘致し、地域経済の活性化を促しました。
周辺町村との合併: 大分市と鶴崎市、大分町など周辺の町村を合併し、大分市の規模拡大と都市機能の強化を図りました。
高崎山自然動物園の開設: 高崎山で農作物を荒らしていたニホンザルに餌付けを行い、高崎山自然動物園として観光資源化に成功しました。

キリシタン文化への貢献

敬虔なカトリック信者であった上田保は、キリシタン殉教記念公園を建立するなど、キリシタン文化の発展にも貢献しました。

水族館事業への挑戦

市長退任後、上田保は株式会社大分生態水族館を設立し、社長として大分生態水族館マリーンパレス（現在の大分マリーンパレス水族館「うみたまご」）を建設しました。世界初の潮流式回遊水槽を設置し、餌付けショーを行うなど、革新的なアイデアで水族館事業を成功に導き、開館から7年間は日本一の入場者数を誇る水族館となりました。

その後の生涯

1980年6月6日、上田保は急性心不全のため85歳で逝去しました。娘婿には、元大分県知事の平松守彦がいます。彼の功績は、今日の大分市の発展の礎となっています。

まとめ

上田保は、大分市の復興と発展に尽力した偉大な人物です。彼のユニークな発想と行動力は、多くの人々に勇気と希望を与え、その功績は今もなお語り継がれています。


参考文献

コトバンク - 上田 保
『ロマンを追って 元大分市長上田保物語』

関連項目

大分市
高崎山自然動物園
大分マリーンパレス水族館

外部リンク

* 「NAN-NAN」なんなん～大分合同新聞社×別府大学 - 中川郁二『ロマンを追って 元大分市長上田保物語』が掲載されている。

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