舟囲い

舟囲い：居飛車の基本戦術

舟囲いは、居飛車対振り飛車において居飛車が用いる基本的な囲いのひとつです。その名称は1955年、将棋雑誌『将棋世界』における読者投稿企画で採用されました。玉の配置が船を思わせる形状から、その名が付けられました。

舟囲いの基本形と発展

舟囲いの基本形は、玉を8八角に据え、7八玉、7九銀、6九金、5八金、4八銀と配置するものです。この囲いは、他の多くの囲いの基礎となっています。穴熊、左美濃、銀立ち矢倉、5筋位取り、箱入り娘、二枚金、文鎮囲いなど、様々な戦術へと発展させることができます。

しかし、舟囲いは必ずしもこの基本形に留まりません。特に急戦においては、舟囲いの名称で呼ばれる様々な変化形が用いられます。例えば、エルモ囲いや箱入り娘などは、基本形とは異なる形状ながら、舟囲いの派生形として認識されています。こうした変化形の増加に伴い、現在では、それぞれの形状を明確に区別するための独自の名称が使われることも多くなっています。

舟囲いのバリエーション

舟囲いには、基本形以外にもいくつかのバリエーションが存在します。

6八銀型: 右金を一段目に控え、飛車の打ち込みに備える形です。ゴキゲン中飛車との対局でよく見られます。
5七銀左型: 振り飛車の急戦においてよく用いられる形です。場合によっては▲6八金上と玉頭を厚くすることもあり、「舟囲いDX」と呼ばれることもあります。
5七銀右型（菱囲い）: 5七銀左型と異なり、位取り戦法と急戦の両方に発展できる柔軟性を持っています。
変則舟囲い: 右四間飛車では、▲6八銀-6一金-5一金型のような変則的な舟囲いも用いられます。

舟囲いの長所と短所

舟囲いの長所は、囲いにかかる手数が少なく、急戦に適している点です。一方、短所としては、玉が薄く、特に玉頭や8七の地点が弱点となる点が挙げられます。

舟囲いの崩し方

舟囲いを崩すには、8七の地点を狙うのが有効です。この地点に集中砲火を浴びせれば、舟囲いは容易に崩れます。また、発展形では6九の金が玉だけに守られているため、飛車を一段目に打ち込むと、△8八X▲同玉△6九飛成という強力な手段が使えます。6八に金が上がっていても、△8四桂〜△7六桂の筋や、飛車の打ち込みによる攻撃が有効です。どの駒で対応しても、8九、7九、6九に銀や角などを打たれる危険性があります。さらに、5筋からの攻めや、7筋への攻撃も舟囲いの弱点となります。

まとめ

舟囲いは、居飛車の基本的な囲いですが、その形状や戦術は多岐に渡ります。基本形から派生する様々な変化形を理解し、長所と短所を踏まえた上で、適切な戦術を選択することが重要です。また、相手の攻撃に対する防御策も熟知しておく必要があります。本書で紹介した内容を参考に、舟囲いを使いこなせるようになりましょう。

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