般陽路

般陽路の歴史と構成

般陽路（はんようろ）は、かつて中国に存在した地域で、モンゴル帝国及び大元ウルスの時代において重要な役割を果たしていました。この地域は現在の山東省淄博市と煙台市にまたがっており、治所は淄川県に置かれました。元々は淄萊路という名称で、チンギス・カンの弟、ジョチ・カサルに由来するカサル・ウルスの支配下にありました。

歴史的背景

般陽路の歴史は唐代の淄州に根ざしています。チンギス・カンが金朝に対する最初の遠征を行った際に、ジョチ・カサルらの一族は山東半島を攻略しました。この時、彼らの活躍により、モンゴル帝国の領土が拡大しました。金が滅ぼされ、チンギス・カンは先鋒たちに占領した地域を与え、それによりカサル家がこの地域の支配を強化しました。

1236年に第2代皇帝オゴデイは、チンギス・カン時代の領土政策を認め、カサル家のイェグは益都と済南地方を与えられて、淄川王と称されました。1264年には淄州が昇格して淄萊路と改称され、その後1287年に般陽路へと名称が変更されました。この名称変更は、モンゴルの歴史においても重要な時代の転換を示しています。

当時、カサル王家はその支配を確立しており、バブシャという新しい当主が登場しました。彼の統治下では、いくつかの重要な文書が作成され、例えば1293年の「八不沙大王令旨碑」には、般陽路に関する貴重な記録が残されています。この碑文は、カサル・ウルスの本領と般陽路との間で活発な交流が行われていたことを示しています。

行政の構成

般陽路は、録事司を中心に12県、さらに2つの州が管轄されていました。県は次の4つです：

• - 淄川県
• - 長山県
• - 新城県
• - 蒲台県

また、州は次のように分かれていました：

• - 萊州（掖県、膠水県、招遠県、萊陽県を含む）
• - 登州（蓬萊県、黄県、福山県、棲霞県を含む）

このような行政区画は、モンゴルの侵攻とその後の統治に基づいて形成されました。特に、淄博市一帯の直轄の4県から、煙台市の2州は飛び地として存在していましたが、これは初期の投下領の設定に由来するものです。

明朝との関連

元の時代が終わり、朱元璋が明朝を建国すると、般陽路は般陽府に改称されました。この改称は、モンゴル帝国から明朝への円滑な移行を示すものです。般陽路は、その存在自体が中国の歴史における重要な転換点の一つであり、無数の文化的、政治的な遺産を残しています。

参考文献

• - 杉山正明『モンゴル帝国と大元ウルス』京都大学学術出版会、2004年
• - 松田孝一「オゴデイ・カンの『丙申年分撥』再考(2)」『立命館文学』第619号、2010年

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