船橋オートレース場

船橋オートレース場：オートレース発祥の地、その歴史と終焉

船橋オートレース場は、千葉県船橋市に位置し、日本のオートレースの歴史において非常に重要な役割を果たした施設でした。1950年10月29日、船橋競馬場内に開設された国内初のオートレース専用場として誕生し、その後、1968年には現在の場所に移転。500メートルの舗装走路を備え、2万人を超える観客を収容できる規模を誇っていました。

開設から移転、そして黄金時代へ

オートレース開催地選定において、船橋市と市川市が誘致に名乗りを上げましたが、船橋競馬場への併設という形で船橋市が開催権を獲得。競馬場内馬場の一部に、1周800メートルのダートコースが造られました。しかし、競馬との開催日調整や騒音問題などから、競馬場外への移転が検討されることになります。移転先選定には様々な困難が伴いましたが、最終的に、閉鎖された船橋サーキット跡地への移転が決定。サーキットのグランドスタンドを流用したため、珍しいバックストレッチ側にもスタンドのある配置となりました。

移転後も、船橋オートレース場は発展を続けました。1990年代には、売上高や入場者数がピークに達し、オートレース界を代表する場として栄えました。しかし、その後は公営競技全体の不振や、近隣マンション建設による騒音問題など、様々な課題に直面することになります。

騒音問題と厳しい経営状況

近隣に大型マンションが建設されたことで、オートレースの騒音問題が再燃。しかし、新型マフラーの導入や開催日数の削減、近隣住民とのコミュニケーションなど、様々な対策が講じられました。結果として、騒音問題に関しては一定の解決が見られました。

しかし、車券売上減少という大きな問題が、船橋オートレース場の存続を脅かしました。年々減少する売上高は、施設の改修費用を捻出するにも難しい状況を生み出し、最終的には廃止という結論に至りました。

廃止決定とその後

2014年、千葉県と船橋市は、船橋オートレース場の廃止を決定。選手会や関係者による存続運動も展開されましたが、廃止は避けられませんでした。2016年3月31日、65年以上の歴史に幕を閉じました。

廃止後、跡地は再開発されました。かつてのオートレース場の面影は消え、現在は大型物流施設やスケートリンクなどが建設されています。50億円規模の解決金が支払われたことや、解体工事が行われたことも報道されています。跡地には三井不動産が開発した大型物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク船橋I」やスケートリンク「アイスパーク船橋」、そして船橋市のマスコットキャラクター「ふなっしー」をモチーフにした公園「ふなっしーパーク」が誕生しました。

まとめ

船橋オートレース場は、日本のオートレースの歴史に深く刻まれた施設でした。その栄光と苦悩の歴史は、公営競技を取り巻く環境の変化や、地域社会との関わり方などを考える上で、貴重な教訓となっています。跡地には新たな施設が建設され、新たな歴史が刻まれつつあります。かつてのオートレース場の記憶は、多くの人々の心に残り続けることでしょう。

もう一度検索