船橋市歌

船橋市歌について

「船橋市歌」（ふなばししか）は、日本の千葉県に位置する船橋市によって制定された公式な市歌です。この歌は、船橋市が市制を施行した歴史的な日、すなわち1937年（昭和12年）4月1日を記念して誕生しました。

当時の船橋市は、船橋町、葛飾町、八栄村、法典村、塚田村という五つの町村が合併することによって成立しました。千葉県内で四番目の市として新たなスタートを切ったこの出来事を祝い、市では新しいシンボルとして市章と市歌を制定することになりました。

市章と市歌の制定にあたっては、当時影響力のあった東京朝日新聞（現在の朝日新聞東京本社）と共同で公募が実施されました。特に市歌の歌詞には、全国から船橋への熱い思いを込めた多くの応募が寄せられました。

歌詞の公募には、合計で249編もの作品が集まりました。これらの応募作を慎重に審査した結果、千葉市で図書館員として勤務していた山本昇氏の応募作品が最も優れたものとして入選に選ばれました。また、山本氏の作品のほかにも、準入選にあたる二等作品が1編、さらに惜しくも入選には至らなかったものの優れた作品として佳作が3編が選定されています。これらの選考結果は、1937年3月13日付の東京朝日新聞千葉版にて発表され、新しい船橋市歌の誕生が広く市民に知らされることとなりました。作詞は山本昇氏、作曲は乗松昭昭博氏が手がけました。

制定された船橋市歌は、市制施行直後の船橋市の様子や情景を映し出しています。歌詞の中には、当時五つの地域が一つになった「大船橋」の活気や、かつて存在した行田の無線電信所のような、現在では見られなくなった歴史的な風景が描かれている部分も含まれています。これは、この歌が単なる市歌としてだけでなく、船橋市の歴史を伝える貴重な資料としての側面も持っていることを示唆しています。制定当時に東京朝日新聞が作成した楽譜には、「大船橋市歌」という表題が使用されているものも見られます。

制定後、長い年月の間に社会情勢が変化し、特に第二次世界大戦後には、船橋市歌が公的な行事などで歌われたり演奏されたりする機会は残念ながら少なくなっていきました。しかし、船橋市が市制施行から70周年を迎えた2007年（平成19年）には、これを記念して開催された様々な行事の中で、市歌が改めて取り上げられました。特に記念コンサートでは、久々にその調べが奏でられ、多くの市民が改めて市歌の存在意義や、それが持つ歴史的重みに触れる機会となりました。

現在、船橋市歌の歌詞は著作権の保護期間を満了しており、パブリックドメインとして利用可能です。この歌は、船橋市が歩んできた道のり、特に市制施行という大きな節目と、その後の街の変遷を今に伝える歌として、船橋市の歴史の一部となっています。

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