船越運河

船越運河

船越運河は、愛媛県南西部の由良半島に位置する運河で、宇和島市と南宇和郡愛南町の境界にあります。この運河は、由良半島のほぼ中央部を東西に横断しており、船舶が半島を迂回することなく航行できるように設けられました。

歴史的背景

由良半島は宇和海に細長く突き出しており、船舶が半島先端の由良岬を回航しなければならないため、古くから航行上の大きな不便を強いられていました。特に小型の漁船にとっては、波の高い外海を航行することは危険を伴い、海難事故も頻発していました。

このような状況下、由良半島のほぼ中央に位置する船越地区は、地峡として知られていました。この地峡は、小型の漁船であれば陸揚げして横断することが可能なほど狭く、「船越」という地名もこのことに由来するとされています。地元住民は、船の陸送作業に度々かり出され、その際には船1隻につき酒1～2升が報酬として支払われていたと言われています。

この地峡の存在に着目し、運河の開削が計画されることになりました。船越地区は運河建設に最適な場所と判断され、1950年（昭和25年）に制定された国土総合開発法に基づく四国西南地域の開発事業の一環として、船越運河の建設が決定しました。1960年（昭和35年）に着工し、1966年（昭和41年）に竣工しました。

運河の概要

船越運河は、主に小型漁船の航行を目的として建設されました。現在は国土交通省四国地方整備局が管理する開発保全航路として利用されています。運河の上部には、愛媛県道292号線が通る船越橋が架けられています。

運河の水流は川のように速く、比較的透明度が高いのが特徴です。

運河の規模

延長：200m
幅員：25m
水深：5m

参考文献

「角川日本地名大辞典38愛媛県」（1981年（昭和56年））

関連項目

奥南運河
細木運河

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