良快 (僧)

良快（りょうかい）

良快は、文治元年（1185年）に生まれ、仁治3年12月17日（1243年1月9日）に亡くなった、鎌倉時代の天台宗の僧侶です。九条兼実を父に、藤原頼輔の娘を母に持ち、異母兄には九条良通や九条良経がいました。飯室僧正、妙香院僧正、本覚院僧正とも呼ばれました。

生涯

良快は、慈円、尊忠、覚什に師事し、天台宗の教えを深く学びました。特に慈円からは、青蓮院門跡を譲り受けましたが、この継承には複雑な背景がありました。本来の継承者であった道覚法親王（後鳥羽上皇の皇子）が、承久の乱の影響で青蓮院を退出しなければならなくなり、その結果として良快が後を継ぐことになったのです。しかし、道覚法親王はこの継承を認めず、慈円と良快の死後、道覚法親王と良快の弟子である慈源（九条良経の孫）との間で紛争が起こる事態となりました。

寛喜元年（1229年）4月には、良快は天台座主に任命されました。この任命もまた、平穏なものではありませんでした。六波羅探題の武士が延暦寺の僧侶を殺害した事件をきっかけに、六波羅探題と延暦寺が武力衝突しました。事態の収拾に失敗した尊性法親王（後堀河天皇の実兄）が辞任を申し出たため、後堀河天皇は、自身の即位前の師であった仁慶（松殿基房の子）を後任に指名しました。しかし、延暦寺の強い反発により朝議が覆り、良快が座主に任じられることになったのです。さらに、この任命が覆された仁慶が直後の同月22日に急死するという後味の悪い結果となりました。

翌寛喜2年（1230年）には、良快は大僧正に任じられ、寛喜3年（1231年）には四天王寺別当にも任ぜられました。その後、文暦元年（1234年）に比叡山の飯室谷に隠退しました。

嘉禎4年（1238年）4月25日には、甥である九条道家が出家した際の戒師を務め、同年7月17日には道家の正室である西園寺掄子が出家した際にも戒師を務めました（これらは『吾妻鏡』にも記録されています）。

著作と人物

良快は、多くの著作を残しており、『諸尊法私』、『胎蔵抄』、『浅近念仏抄』などが知られています。また、法然とも親交があり、『法然上人行状絵図』にもその姿が描かれています。良快は、学識深く、天台宗の発展に尽力した僧侶であったと言えるでしょう。

参考文献

市古貞次 他編『国書人名辞典』第4巻 岩波書店、1995年。P751.
日本仏教人名辞典編纂委員会 編『日本仏教人名辞典』法蔵館、1992年。 ISBN 978-4-8318-7007-0 P812.

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