芝罘条約

芝罘条約（チーフーじょうやく）

芝罘条約は、1876年に清（中国）とイギリスの間で締結された条約であり、英語ではChefoo Convention、中国語では烟台条约と呼ばれます。この条約は、マーガリー事件をきっかけに関係が悪化した両国間の緊張を緩和するために結ばれましたが、清国にとって非常に不利な内容を含む不平等条約とされています。

条約締結の経緯

条約は1876年9月13日に、煙台（えんたい）の芝罘（チーフー）にある東海関税務司公署において、イギリスの公使であるトーマス・ウェードと、清国側の代表であり北洋大臣であった李鴻章（りこうしょう）によって締結されました。

条約の内容

条約は大きく3つの部分と特別条項で構成されています。

第一部：マーガリー事件に関する事項

イギリスは5年間限定で、雲南省大理（だり）などの地域に官吏を派遣・駐在させ、通商状況を視察することを認められました。
清政府は、事件に対する賠償金として20万両を支払うことが義務付けられました。

第二部：外交交渉に関する事項

イギリスの在華外交官が、清国の高官との交渉を行うことが承認されました。

第三部：貿易に関する事項

宜昌（ぎしょう）、蕪湖（ぶこ）、温州（おんしゅう）、北海（ほっかい）の4港が開港されました。
イギリスは重慶（じゅうけい）に官吏を駐在させ、四川省（しせんしょう）の通商を調査することが可能となりました。
揚子江（ようすこう）流域に6カ所の汽船立ち寄り港を設置することが認められました。
租界を、アヘン以外の外国商品取引時の釐金（りきん）免除地区とすることが定められました。
租界が未設置の開港場においては、租界を確定することが取り決められました。

特別条項

イギリスが北京から甘粛（かんしゅく）、青海（せいかい）、四川、チベットを経由してインドに探検隊を派遣する際の安全を、清政府が保証することが定められました（イギリスのチベットへの通行権を清が承認することを含む）。

条約の影響

芝罘条約は、清国に対するイギリスの優位を確立し、更なる経済的・政治的侵略を招く結果となりました。この条約によって、イギリスは中国内陸部への進出を強化し、中国の主権を侵害していきました。また、他の列強もこの条約をモデルとして、同様の不平等条約を清国に押し付けるようになります。

関連項目

雲南問題
植民地
イギリス帝国

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