花 (映画)

花（はな）

『花』は、2002年に製作され、2003年11月1日に劇場公開された日本のロードムービー作品です。西谷真一が監督を務め、金城一紀の短編集「対話篇」に収録された同名小説を原作としています。第28回湯布院映画祭にも招待されました。

ストーリー

物語の主人公は、頭部に動脈瘤を抱え、手術を受ければ記憶を失うかもしれないという過酷な現実を知った青年、野崎陽一郎です。彼はこの事実を受け入れられず、仕事を辞めて現実から逃避するかのような無為な日々を送っていました。

そんなある日、野崎は鳥越弘という初老の弁護士から奇妙な依頼を受けます。それは、鳥越を一週間かけて鹿児島県指宿市まで車で送り届けるというものでしたが、条件として、高速道路を一切使わないというものでした。なぜ、そこまでして遠回りをする必要があるのか。

鳥越は、指宿のホスピスにいる元妻の訃報に接し、その遺品を引き取りに行く途中でした。しかし、鳥越は長年の間に元妻の顔すら思い出せなくなってしまっていたのです。彼は野崎に、かつて二人で旅した新婚旅行の道程をゆっくりとたどることで、失われた妻の記憶を取り戻そうとしているのだと打ち明けます。

行くあてのない野崎は、この妙な仕事を引き受けることになり、記憶を失う可能性に怯える青年と、失った記憶を取り戻したい老弁護士という、それぞれに深い事情を抱えた二人の一週間にわたる旅が始まります。高速道路を使わず、下道をのんびりと進む道中、二人は様々な土地を経由し、個性的な人々に出会いながら、互いの心に秘めた思いに触れていきます。

キャスト

本作には、主人公たちの旅を彩る個性豊かな俳優陣が集結しました。

野崎陽一郎：大沢たかお
鳥越弘：柄本明
野崎の彼女・千香子：西田尚美
若い頃の鳥越：加瀬亮
鳥越の妻・恵子：牧瀬里穂
通りがかりの自転車乗り：仲村トオル
動脈瘤を告げる医師：南果歩
ホスピスの看護師：藤村志保
食堂のおばちゃん：樋口可南子
射的の屋台の怖いおじさん：椎名桔平

スタッフ

映画の完成を支えた主なスタッフは以下の通りです。

製作：若杉正明
エグゼクティブ・プロデューサー：甲斐真樹
プロデューサー：田辺順子
監督：西谷真一
原作：金城一紀（短編集「対話篇」収録「花」）
脚本：奥寺佐渡子
音楽：村治佳織
撮影：町田博
照明：木村太朗
美術：福澤裕二
録音：横野一氏工
編集：奥原好幸
スペシャル・サンクス：相米慎二

外部リンク

公式ホームページ ※実際のURLは提供情報にないためダミー
* 花 - allcinema

記憶の喪失におびえる青年と、記憶を取り戻したい老人の旅は、見る者に生と死、そして人生における大切なものを問いかけます。静かで味わい深い人間ドラマとして評価されている一作です。

（文字数：約1250字）

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