花倉の乱

花倉の乱の詳細

花倉の乱（はなくらのらん）は、戦国時代の天文5年（1536年）に発生した、駿河国の今川家におけるお家騒動です。この騒動の名称は、静岡県藤枝市にある地名「花倉」に由来し、挙兵した玄広恵探や、その背景となる恵探が華蔵山徧照光寺の住持であったことから「華蔵殿」とも呼ばれていました。今川家では、この内訌によって栴岳承芳（後の今川義元）が勝利し、乱は終結しました。

背景

今川家は足利氏の支族として、文明8年（1476年）以降、家督を巡る争いから内部での分裂が続いていました。この時期には、一門衆や有力被官との争いがあり、乱れが生じていました。家督相続は幕府の伊勢盛時の仲介によって進められ、長享元年（1487年）に今川氏親への家督が引き継がれることとなります。

氏親は守護代の盛時に支えられ、当主としての権威を強化するために、分国法である「今川仮名目録」を制定し、家中をまとめる努力をしました。自らの死後の内訌を防ぐために、嫡子の龍王丸（後の今川氏輝）へのスムーズな家督相続を図る一方で、五男の芳菊丸（後の栴岳承芳）を養育し、重要な地位に育て上げました。特に氏輝の時代には、甲斐の武田氏と和睦し、一門衆や有力被官との合議を確立して、分国統治の整備をした点が特徴的です。

乱の経過

天文5年の3月17日（1536年4月7日）、今川家の当主であった氏輝とその弟の彦五郎が突然の死を遂げ、家中は大混乱に陥りました。この状況を受け、寿桂尼が事実上の家長として活躍し、栴岳承芳を当主に擁立することを決定します。しかし、この選択に反対する恵探や家老の福島氏が抵抗を示し、抗争が始まりました。

5月24日（6月12日）、寿桂尼は恵探に支持を求めて福島越前守と接触を試みますが、交渉は不調に終わりました。その結果、翌日には駿府で合戦が行われ、福島越前守は敗北し久能城へ撤退します。

乱は、由比城や方ノ上城、さらに花倉城で繰り広げられ、戦火は大規模に広がりを見せました。この悪化する状況の中で、寿桂尼は北条氏綱に援軍を要請し、氏綱もこれに応じて大軍を派遣します。義元は北条家の支援を得つつ、6月10日（6月28日）に岡部親綱が方ノ上城を攻撃し、これに続いて恵探の籠城する花倉城を攻撃しました。

恵探は抵抗できず逃亡し、最終的には瀬戸谷の普門寺で自ら命を絶ちます。このようにして闘争は収束し、義元は自身の家督相続を正式に宣言し、今川家の宗主権強化に努めることとなります。

影響

義元の還俗後、彼は武田氏との同盟を結ぶに至ります。この決断は、花倉の乱における北条家の援軍が義元の心に強く影響を与えた結果とも考えられています。このため、戦乱の終結後に氏綱に対する牽制として武田家との同盟は重要な意味を持つことになります。

花倉の乱を題材とした作品

大河ドラマ『風林火山』（2007年）では、この乱が取り上げられ、第5回「駿河大乱」として放送されました。争いの展開や事情が描かれ、視聴者にとっても興味深い歴史の一部となっています。

このように、花倉の乱はその後の戦国時代の流れを大きく変えた内乱として記録されています。

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