花柳壽輔 (初代)

初代花柳壽輔の生涯と舞踊界への貢献

初代花柳壽輔（しょだい はなやぎ じゅすけ）は、1821年3月22日に江戸で生まれ、日本舞踊界で名を馳せた舞踊家かつ振付師です。彼は日本舞踊花柳流の初世家元であり、明治時代に舞台振付の革新をもたらしました。

幼少期と役者としての出発

壽輔は玩具商の三国屋家に生まれ、4歳の時に養子先である鶴間家に引き取られました。その家の影響を受け、6歳から舞踊を学び始め、名を与えられたのは四代目西川扇蔵のもとでした。1828年には市川團十郎の目に留まり、役者としての道を歩み始めますが、1839年に養父が他界したことで、役者の道を断念し舞踊家へと転身しました。

振付師としての台頭

1840年に七代目團十郎が演じた『勧進帳』初演に参加した際、芳次郎として振付に関与しました。その後も扇藏の元で振付の技術を磨き、しかし1845年に扇藏が急死し、周囲との対立や破門が続く厳しい時期を迎えます。破門後は吉原に戻り、藝妓たちに舞踊を教えていたとされています。

花柳流の設立

1848年、ついに「花柳芳次郎」として公演に名を連ね、これが花柳流の始まりとされています。遊女屋の主人から名付けられた「花柳」という姓は、彼の新たな出発を象徴するものです。以降、彼は振付師としての活動を広げ、名だたる役者たちからも信頼されるようになりました。

近代への挑戦

1860年には「花柳壽輔」と名を改め、独自のスタイルで振付を行い始めます。彼は、舞台全体を統一感あるものにするため、役者や劇団と密に連携をとるようになりました。明治に入るとその活動は真髄を迎え、新たな作品を次々と発表します。

明治時代の活躍と困難

1873年に起こった不幸な出来事や役者との対立など挫折を経験しつつも、彼は新しい舞踊スタイルの創出に貢献しました。特に『船弁慶』などの松羽目物の振付において、その経験を活かし新たな価値を舞台に提供しました。しかし、九代目市川團十郎との意見対立が生じ、花柳流の影響力が次第に減少していくことになります。

晩年とその影響

実子を失った後、養子を迎えるなどしつつ、1897年には明治座の専属振付師に就任。しかし老いには逆らえず、1903年に83歳でこの世を去りました。彼の死は、明治の歌舞伎界における大きな変化の節目となり、多くの舞踊家が彼の教えを受け継ぎながらも新たなスタイルを確立していきました。

その人となり

壽輔の厳格な性格は、弟子や役者たちの間で恐れられ敬愛されました。彼は深い理解を持つため、常に努力を惜しまず、その姿勢は後の演出に影響を与えました。その生涯における彼の貢献は、日本舞踊界にとって計り知れないものであり、現代にもその影響は色濃く残っています。

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