花柳糸之社中

花柳糸之社中：伝統と革新が融合するダンス集団

花柳糸之社中は、日本舞踊を基盤とした実力派のダンスグループです。日本舞踊家であり、振付師でもある花柳糸之氏が率いるこのグループは、数多くの演歌歌手などのバックダンサーとして活躍し、その華麗なパフォーマンスで観客を魅了してきました。

音楽番組からバラエティ番組まで幅広く活躍

NHKの看板音楽番組である『NHK歌謡コンサート』や『BS日本のうた』、テレビ東京系列の『にっぽんの歌シリーズ』など、数々の音楽番組に出演。これらの番組で培ってきた高い技術と表現力は、花柳糸之社中の大きな魅力となっています。さらに、NHK紅白歌合戦においても、花柳糸之氏が振付を担当した歌手のバックダンサーとして出演するなど、その活躍は多岐に渡ります。ももいろ歌合戦への出演も果たしており、幅広いジャンルの番組でその存在感を示しています。

リーダー花柳糸之氏の多彩な経歴

グループのリーダーである花柳糸之氏は、鹿児島県出水市出身。花柳流四天王の一人として知られる花柳啓之氏に師事し、14年間厳しい修行を積みました。美空ひばり、橋幸夫、村田英雄といったそうそうたるメンバーと兄弟子として共に学び、その経験は、現在の活動に大きな影響を与えています。

師匠である花柳啓之氏は、1960年代に歌手のバックダンサーとして日本舞踊を披露するというスタイルを考案。糸之氏は、1975年に師匠が亡くなった後、その意志を受け継ぎ、NHK紅白歌合戦、NHK歌謡コンサートをはじめ、『新春かくし芸大会』、『日本レコード大賞』などの数々の番組で振付を担当しました。花柳糸之社中をバックに歌うことが、歌手にとってステータスとなるほど、その存在感は圧倒的でした。

伝統芸能とエンターテインメントの融合

当初は、日本舞踊の伝統を継承することに重きを置いて活動していましたが、師匠の息子であり、バラエティ番組『オレたちひょうきん族』や『笑っていいとも!』のディレクターを務めた三宅恵介氏との出会い、そして糸之氏自身の関心や意志が重なり、1975年には井手らっきょ氏の登場演出を手掛け、バラエティ番組への進出を果たしました。この挑戦は、伝統芸能とエンターテインメントの融合という新たな道を切り開きました。

糸之氏は、日本舞踊の伝統を重んじながらも、バラエティ番組でのコミカルな演出にも柔軟に対応。例えば、『オレたちひょうきん族』では山田邦子の後方での舞踊を担当し、ずっこけなどのコミカルな演出にも挑戦しました。さらに、衣装にもこだわりを持ち、自作することもあります。

多方面での活躍

1988年からは『オールスターものまね紅白歌合戦』にも多数出演。当時30％を超える高視聴率を誇った番組への出演は、花柳糸之社中の知名度をさらに高めることとなりました。

また、1984年のロサンゼルスオリンピックで見たチアダンサーに感銘を受け、日本にチアリーディングを広めた功績も持ちます。日本チアリーディング協会理事、東京都板橋区文化国際交流財団理事、長野県岡谷市文化財団理事、鹿児島県薩摩大使、パレデ糸之代表取締役社長、バーシティ取締役社長など、多方面で活躍しています。

2022年には、第73回NHK放送文化賞を受賞。2023年9月21日にはフジテレビ系『私のバカせまい史』にて、「謎のダンス集団　花柳糸之社中史」と題して特集が組まれ、その活動が改めて注目を集めました。

花柳糸之社中は、伝統と革新を融合させ、日本舞踊の可能性を追求し続ける、唯一無二のダンスグループと言えるでしょう。

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