花泉遺跡

花泉遺跡の概要

花泉遺跡（はないずみいせき）は、日本の岩手県一関市花泉町金森にある旧石器時代の遺跡で、「金森遺跡」とも称されます。この遺跡は、後期旧石器時代の貴重な考古学的資源となっており、様々な動物の化石が発見されています。具体的には、化石床は厚さ約2.5メートルの粘土、泥炭、砂層から成り立っており、数多くの動物の骨が出土しました。

この遺跡で発見された化石には、ハナイズミモリウシ（ステップバイソン）、オーロックス、ヘラジカ、ヤベオオツノジカ、オルドスオオツノジカ、キンリュウオオツノジカ（メガロケロス属）、カトウキヨマサジカ、ナウマンゾウ（ワカトクナガゾウ）など、主に後期更新世に絶滅した大型や中型の哺乳動物が含まれます。これは、特に「マンモス動物群」として知られる動物たちの化石が多く出土しており、彼らが氷の陸橋を渡り北海道に来て、本州へと南下してきた様子が伺えるのです。

出土した化石は、放射性炭素年代測定法により、約3.5万年前から1.6万年前の後期更新世に属していると考われています。これにより、約2万年前の自然環境を復元することが出来る重要な遺跡とされています。また、この遺跡からは中型および小型の動物の骨も発見されており、例えばニホンジカやイノシシ、アナグマ、ノウサギなどが含まれます。

また、獣骨の中には野牛の肋骨の先端部に加工具が施された骨製の尖頭器が見つかっており、さらに二枚貝や植物の化石も多く発掘されています。このことから、花泉遺跡は狩猟や生活の場としての重要性が今も研究され続けています。

遊動生活の様相

花泉遺跡は、いわゆる「キル・サイト」、すなわち旧石器時代の人々が狩猟した大型動物を解体した場所であると考えられています。日本列島には旧石器時代の遺跡が1万箇所以上存在しますが、住居の痕跡として発見される遺構は、主に石器製作跡の「ブロック」や炉跡、調理施設の礫群がほとんどで、定住を示す竪穴建物などはごく少数です。

これは、この時代の人々が哺乳動物の季節による移動に合わせて生活していたためです。したがって、簡易的な住まいを持ち、獲物を求めてキャンプ地を移動する「遊動生活」が行われていたと示唆されています。これにより、当時の人々は効率よく獲物を追い求め、一定地域内を動き回っていたと考えられています。

以上のことから、花泉遺跡は日本の旧石器時代の生活様式や狩猟文化についての理解を深める上で極めて重要な場所であり、その研究成果は今後も注目されることでしょう。

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