花鳥風月 (スピッツのアルバム)

スピッツ『花鳥風月』：B面曲と未発表曲で彩る特別な世界

『花鳥風月』は、日本のロックバンド・スピッツが1999年3月25日にリリースしたスペシャルアルバムです。このアルバムは、通常のオリジナルアルバムとは異なり、シングル曲のB面や過去に未発表だった楽曲を中心に構成されており、スピッツの音楽的な幅広さと奥深さを堪能できる作品となっています。

アルバム概要

8thアルバム『フェイクファー』の制作時期から、メンバー内では「B面集を出したい」という構想がありました。当時の音楽業界はベストアルバムブームでしたが、本作はそれに対するアンチテーゼとして企画されました。選曲はメンバー自身が行い、アルバム未収録のB面曲を中心に、すべてがアルバム初収録という構成になっています。仮タイトルは「裏街道」や「風月」などが候補に挙がっていました。

2021年9月15日には、インディーズ時代の楽曲を収録した『花鳥風月+』がリリースされたことに伴い、本作は生産終了となりました。

収録曲と楽曲解説

『花鳥風月』には、スピッツの多様な音楽性が詰まった12曲が収録されています。

1. 流れ星：2ndアルバム『名前をつけてやる』の時期にレコーディング候補に挙がっていたものの、お蔵入りとなっていた楽曲です。元々は辺見えみりに提供された曲ですが、本作で新録音として初めてCDに収録されました。インディーズ時代からライブで披露されていたものの、当時はレゲエ風のアレンジでした。後に20thシングルとしてリカットされています。

2. 愛のしるし：PUFFYに提供した楽曲のセルフカバーです。実は、8thアルバム『フェイクファー』の時期に既に存在していた曲で、アルバムへの収録候補にもなっていました。PVではメンバーが様々な職業に扮するコスプレを披露しており、当時のCMディレクターだった吉田大八が監督を務めました。この曲は、花王のビデオプロジェクトや「華丸・大吉のなんしようと?」のオープニングテーマ、「ZIP!」内のコーナーテーマソングにも使用されています。

3. スピカ：19thシングル「楓/スピカ|楓_スピカ」の2曲目として収録されていた楽曲です。

4. 旅人：14thシングル「渚」のカップリング曲です。

5. 俺のすべて：11thシングル「ロビンソン」のカップリング曲。最後のサビ前のブレイクが若干短くなっているのが特徴です。

6. 猫になりたい：9thシングル「青い車」のカップリング曲です。

7. 心の底から：6thシングル「裸のままで」のカップリング曲です。

8. マーメイド：4thシングル「惑星のかけら」のカップリング曲です。

9. コスモス：5thシングル「日なたの窓に憧れて」のカップリング曲です。

10. 野生のチューリップ：未発表音源で、「流れ星」と同様にアマチュア時代からライブで披露されていた楽曲です。2ndアルバム『名前をつけてやる』のセッションでレコーディングされたものの、未収録となっていました。本作では、牧野英司によってリミックスされたものが収録されています。1995年には遊佐未森に提供され、シングルとして発表されました。

11. 鳥になって：3rdシングル「魔女旅に出る」のカップリング曲です。

12. おっぱい：インディーズ盤『ヒバリのこころ』収録曲です。本作ではイントロが一部カットされていますが、『花鳥風月+』にはオリジナルバージョンが収録されています。

13. トゲトゲの木：インディーズ盤『ヒバリのこころ』収録曲です。

アナログ盤

1999年4月7日には、10インチの2枚組限定アナログ盤もリリースされました。レコードならではの音質で『花鳥風月』の世界を楽しむことができます。

まとめ

『花鳥風月』は、スピッツの音楽的な多様性と深さを堪能できる、まさにスペシャルなアルバムです。B面曲や未発表曲、セルフカバーなど、バラエティ豊かな楽曲が収録されており、スピッツのファンはもちろん、幅広い音楽ファンにおすすめできる作品です。通常のオリジナルアルバムとは異なる魅力に触れてみてください。

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