芳賀薫

芳賀 薫

芳賀 薫（はが かおる）は、1973年に東京都で生まれた日本のCMディレクターです。広告映像や音楽プロモーションビデオ（PV）の分野で、独創的な映像表現を手がけ、高い評価を得ています。

彼のキャリアは、1997年に武蔵野美術大学映像学科を卒業したことから始まります。大学で映像制作を専門的に学んだ後、広告映像制作で知られるピラミッドフィルムに入社し、企画演出部に所属しました。ここでCMディレクターとしての基礎を築き、数多くの映像作品に関わります。

2004年には、同じく広告映像の分野で活躍する小島淳平氏、細野ひで晃氏らとともに、クリエイターの集団である「THE DIRECTORS GUILD」を設立。活動の場を移し、より自由で多様な映像表現に取り組むこととなります。

CMディレクターとして、彼は多岐にわたる分野の広告を手がけてきました。初期の代表作の一つとして、2001年に制作された日産自動車のコンパクトカー「CUBE」のCMがあります。この作品は、そのユニークな表現が高く評価され、国内外で受賞しています。また、トヨタ自動車の「Passo」のCMも担当しました。携帯電話キャリアのVodafoneでは、伊東美咲さんと岡田准一さんが出演するシリーズを演出しています。

特に印象的な仕事としては、NTT東日本の光ブロードバンドサービス「フレッツ光」のCMシリーズがあります。このシリーズでは、当時人気だったSMAPのメンバーをそれぞれ起用した複数の篇を演出し、大きな話題を呼びました。具体的には、中居正広さんが出演する「複数番号」「告白」「広がる暮らし」篇、稲垣吾郎さんが出演する「光×マンションタイプ」篇、香取慎吾さんが出演する「光×プロバイダ」篇などがあります。これらのCMは、サービスの特性を分かりやすく伝えつつ、タレントの個性を活かした親しみやすい映像となっています。

他にも、日本ビクターのビデオカメラ「Everio」の「Shoes」篇と「リュック」篇（2005年）、アミューズメント施設「ニラク」の「ニラクマンデー Soul two soul」篇（2005年）、ソニー銀行の「SONYBANK 福沢諭吉」篇（2006年）、カー用品店イエローハットの冬キャンペーン「ドライブ」篇（2007年）、出光興産の企業広告「企業ウルトラ出光人 未来家族 アグリバイオ」篇（2008年）、リクルートが運営する中古車情報サイト、カーセンサーの「保健室のカー先生、その２」篇（2008年）など、数多くの企業のCM制作に携わっています。

CMだけでなく、音楽プロモーションビデオの分野でも精力的に活動しています。彼が手がけたアーティストは多岐にわたり、奥田民生さんの「海の中へ」、平井堅さんの「POP STAR」、岡村靖幸さんの「モンシロ」、LOONIEの「春ウララ ルララ」、L'Arc〜en〜Cielの「Hurry Xmas」、大塚愛さんの「ゾッ婚ディション」などがあります。これらのPVでは、楽曲の世界観を深く理解し、視覚的に魅力的な映像へと昇華させています。

その優れた演出力は、国内外で高く評価され、多くの賞を受賞しています。先述の日産「CUBE」のCMは、2001年にニューヨークフィルムフェスティバルでブロンズ賞を、同年にACC賞を受賞しました。2006年には、ゲームソフト「ラチェット&クランク3」のCMでACCシルバー賞を獲得しています。また、音楽PVの分野でもその功績が認められており、SPACE SHOWER Music Video Award '06では、奥田民生さんの「海の中へ」がMV MALE VIDEO WINNERに、平井堅さんの「POP STAR」がMV POP VIDEO WINNERにそれぞれ選出されました。これらの受賞は、芳賀薫氏がCM、PVの両分野で、革新的かつ質の高い映像作品を生み出し続けている証と言えるでしょう。

広告、音楽といった様々なフィールドで、常に新しい表現を追求し続ける芳賀薫氏は、日本の映像ディレクターとして重要な存在であり、今後のさらなる活躍が期待されています。

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