芳野世経

芳野世経（よしの つぐつね）は、嘉永2年11月27日（1850年1月10日）に生まれ、昭和2年6月20日（1927年）に生涯を終えた、明治から大正時代にかけての政治家です。彼は衆議院議員を1期務めた他、地方政治や教育の分野で重要な役割を果たしました。

生い立ちと教育

芳野世経は、儒学者である芳野金陵の三男として、現在の東京都文京区大塚に生まれました。二人の兄が夭折したため、家督を継ぐこととなります。幼少期から漢学を修め、昌平黌では助教として教鞭を執りました。この時期の教育経験が、後の彼の活動に大きな影響を与えたと考えられます。

地方政治での活躍

1879年（明治12年）に小石川区会議員に当選したのを皮切りに、芳野世経は地方政治の世界で頭角を現します。福沢諭吉の後任として同区の副議長に就任し、その後も東京市会議員、同参事会員、東京府会議員、同議長といった要職を歴任しました。また、地方衛生委員、東京市学務委員長、同伝染病予防委員長、同土木常設委員長、東京府教育会長、警視庁防疫評議員など、多岐にわたる分野でその手腕を発揮しました。

教育への貢献

芳野世経は、教育者としても熱心な活動を行いました。小石川区大塚町に私立蓬莱学校を設立し、さらに分校を日本橋区本石町に設けるなど、後進の育成に尽力しました。これらの活動は、彼の教育に対する情熱と、社会貢献への強い意志を示すものです。

国政への進出

1890年（明治23年）7月、第1回衆議院議員総選挙において、東京府第9区から出馬し見事当選を果たします。彼は衆議院議員として1期を務め、国政の舞台でもその存在感を示しました。

親族

芳野世経の親族には、以下のような人々がいます。
父：芳野金陵（儒学者）
次女：せい（東北帝国大学教授・日下部四郎太妻）
五女：恒（官選佐賀県知事・斎藤行三妻）

参考文献

木戸照陽 編『日本帝国国会議員正伝』田中宋栄堂、1890年。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/778538。
人事興信所 編『人事興信録 初版』人事興信所、1903年。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/779810。
人事興信所 編『人事興信録 第4版』人事興信所、1915年。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1703995。
* 衆議院、参議院 編『議会制度七十年史 第11』大蔵省印刷局、1962年。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3000139。

これらの文献は、芳野世経の生涯や業績を詳しく知る上で貴重な資料となります。

もう一度検索