芸備日日新聞

芸備日日新聞の歴史

芸備日日新聞は、かつて広島県の広島市で存在した新聞社です。中国新聞社の傍系として明治時代から発展したこの新聞は、特に当時の新聞業界の中で重要な役割を担っていました。この記事では、芸備日日新聞の創刊から経営の変遷、そして没落までの詳細な過程を見ていきます。

創刊の経緯

広島には明治時代に多種多様な新聞が創刊されましたが、なかなか発展するものはありませんでした。1879年に発刊された「広島日報」が初の成功例となり、その後、1882年に「芸備日報」が創刊されました。この「芸備日報」が、後に「芸備日日新聞」の母体となります。1884年には経営困難から一度廃刊に追い込まれましたが、1886年に「芸備日報」として再出版されました。

1888年7月1日、発行番号701号から芸備日日新聞として新たにリスタートを切りました。この時期、社主は早速勝三であり、彼は多彩な事業を展開しながら新聞の経営を引き継ぎました。

成長と繁栄

1895年の調査によると、芸備日日新聞は56,000部の発行部数を誇り、当時の全国ランキングにおいて5位に位置づけられました。この頃は、経営者早速勝三の手腕によって新聞は堅実に成長し、広告収入も安定するようになっていました。また、競合する中国新聞や大阪の新聞との競争関係が緊迫していたため、記事内容や政治的スタンスも相当に重要でした。

しかし、報道の立場は変化をもたらし、早速勝三が経営権を握ったことによって、新聞は立憲民政党系の意見を強く反映するようになりました。これにより、選挙戦では紙面上でも競争が激化し、互いに対立する姿勢が見え隠れしました。特に早速整爾が進歩党を支援していた点は、新聞の政治的立場を色濃く示しています。

没落の過程

一方で、大正時代の初期に入ると、芸備日日新聞は中国新聞とほぼ同等の部数を誇っていたものの、全国的な知名度ではまだ勝っていました。しかし、1920年以降、中国新聞は政党との関係を断ち切ったのに対し、芸備日日新聞はその機関紙的な性格から脱却できず、次第に経済的な立場を弱めていきました。これにより部数も減少し、1927年には中国新聞に大きく水をあけられてしまいます。

社長の早速勝三が1918年に死去した後も、早速整爾が経営を継承しましたが、強力なリーダー不在と競争の激化により、業績は急速に衰退しました。特に、主筆や編集長の引き抜きや死去といった内部の事情も影響を及ぼしました。

1926年には資本増資や最新の印刷機材購入など再建策が試みられましたが、効果は見られず、1931年には経営権が新たに設立された合資会社に譲渡されました。経営再建の努力も実らず、最終的に中国新聞社に経営をゆだねることになりました。

消滅

1941年には芸備日日新聞と呉新聞が合併し、呉新聞として発行されることとなります。こうして、伝統ある芸備日日新聞はその姿を消しましたが、その後中国新聞社に統合される形で、今日の新聞業界へとつながっていくのです。

このように、芸備日日新聞の歴史は前半では急成長を遂げ、後半では経営難に悩みながらも地方新聞の歴史を彩った重要な存在でした。

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