芸能山城組

芸能山城組：民族音楽を基軸とした、グローバルな音楽集団

芸能山城組は、日本の民族音楽をルーツに持ちながら、世界各地の音楽を取り入れ、独自の音楽世界を構築している稀有なアーティストグループです。1974年の結成以来、一貫して文明批判をテーマに掲げ、多様な音楽表現を通して社会へのメッセージを発信し続けています。

結成と初期活動

芸能山城組の原点は、1966年に山城祥二氏をリーダーとして結成された学生合唱団「ハトの会コーラス」に遡ります。ブルガリアの伝統的な女声合唱や日本民謡、ジョージアの合唱など、多様な音楽ジャンルに果敢に挑戦した彼らは、民族音楽研究家である小泉文夫氏の協力を得ながら活動の幅を広げていきました。1970年には「恐山」を発表、アルバム「恐山/銅之剣舞」のリリースを経て、山城氏はレコード会社から民族音楽コレクションのスーパーバイザーを依頼され、本格的なフィールドワークを開始。JVCワールドサウンズの発売にも繋がります。

バリ島ケチャと『AKIRA』への参加

1973年、芸能山城組はバリ島でケチャの調査を行い、翌1974年には日本初となるケチャの全編上演を成功させました。この経験を機に、グループ名を「芸能山城組」と改名。その後、バリのガムランや日本のお経など、多様な民族音楽や唱法を取り入れた「輪廻交響楽」(1986年発表)は、アニメーション映画監督の大友克洋氏の目に留まり、『AKIRA』の音楽制作に繋がります。1988年に発表された「Symphonic Suite AKIRA」は、作品の世界観を鮮やかに彩り、芸能山城組を世界に知らしめるきっかけとなりました。

多様な活動と継続的な発展

『AKIRA』への参加以降も、芸能山城組は世界各地の民族音楽の研究と発表を続け、「翠星交響楽」(1990年発表)など、数々の作品を発表しています。毎年夏には新宿で「ケチャまつり」を開催するなど、積極的に活動を展開。また、不定期に「鳴神」という独自の群芸パフォーマンスや高校への出張公演なども行い、幅広い層に音楽の楽しさを伝えています。

メンバーと音楽性

芸能山城組は、学生、ビジネスマン、エンジニア、医師、ジャーナリストなど、多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成されています。この多様性が、彼らの音楽に独特の深みと広がりを与えています。山城祥二氏のリーダーシップのもと、それぞれの個性を活かした音楽表現は、民族音楽にとどまらず、現代社会への鋭い批評性も内包しています。

まとめ

芸能山城組は、民族音楽を基盤としながらも、常に新しい表現に挑戦し続ける、革新的なアーティストグループです。彼らが追求する音楽は、単なるエンターテインメントを超え、文明批判という強いメッセージ性と、世界各地の文化への深い敬意が融合した、独特の芸術表現と言えるでしょう。彼らの活動は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

参考文献

公式ウェブサイト
JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントによる紹介ページ

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