芸術座

芸術座の歴史と特徴

芸術座（げいじゅつざ）は、東京都千代田区有楽町にあり、東宝が直営していた演劇専用の劇場です。この劇場は、東宝本社ビルの4階に位置しており、客席数は約750席で、中規模のサイズを誇っていました。芸術座の特徴は、客席と舞台が非常に近く、観客が臨場感あふれる演劇を楽しめる点にありました。

開館と初公演

1957年の4月25日、芸術座は華々しく開館しました。こけら落としの演目には、名優・森繁久弥が主演する「暖簾」が選ばれ、多くの観客がその初舞台を見守りました。この日から、芸術座は演劇界の重要な拠点としての役割を果たすことになります。

芸術座を彩る演目

1958年11月には、人気女優・森光子が出演する「花のれん」で初舞台を踏み、以降も多くの話題作が上演されました。1959年10月には「がめつい奴」が初公演され、これは翌年7月まで9ヵ月もの長期にわたって上演されることとなり、日本初のロングラン興行となりました。芸術座はその後も、数々の名作が上演され、多くの観客を魅了しました。

コメディ番組と特別公演

1961年5月には、フジテレビで放送されるコメディ番組「笑えば天国」がこの劇場で公開収録され、1966年まで続いたこの番組は、芸術座の名前をさらに広めることに貢献しました。同年10月には、森光子の主演による「放浪記」が初公演され、この作品も後に長期にわたって上演されることになります。

歴史的な出来事

1973年4月、芸術座の名付け親である菊田一夫が亡くなり、その存在の重要性が再認識されることとなりました。また、1980年には東宝演芸場の閉鎖に伴い、東宝名人会の興行がこの劇場で引き継がれたことからも、勇気と情熱を持った舞台芸術が次世代に受け継がれる姿を感じさせます。

芸術座の閉幕

1990年には「放浪記」が通算上演回数1,000回を突破し、その人気の高さを証明しました。しかし、2004年には老朽化した東宝本社ビルの解体が発表され、2005年には最終公演「さよなら芸術座お名残番組」が行われました。最後の公演で、森光子が主演した「放浪記」が、観客の熱い拍手の中、48年の歴史に幕を閉じました。カーテンコールでは「祝・大千穐楽」と書かれたパネルが掲げられ、感動的なフィナーレを迎えました。

新たな劇場の誕生

芸術座の跡地には、2007年11月7日に新劇場『シアタークリエ』がオープンしました。このように、芸術座はただの劇場ではなく、日本の演劇史に残る重要な場所であり続けました。芸術座での多くの名演を思い出しながら、私たちはその歴史を語り継いでいくことが求められています。

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