若尾瀾水

若尾瀾水（わかお らんすい）

若尾瀾水（わかお らんすい）は、1877年1月14日に高知県で生まれ、1961年12月1日に亡くなった日本の俳人であり、また日本画家、新聞記者、そして土佐文人の研究者でもありました。本名は庄吾で、雅号は葭厓です。彼の生涯を通じて、日本の文学および文化に多大な影響を与えました。

初期の生活と教育

若尾は高知県の裕福な郷士の家に生まれました。1889年には高知尋常中学校に入学し、そこで森田正馬という親友と出会いました。その後、1894年に京都の第三高等学校に進学し、さらに1896年には寒川鼠骨から日本派の俳句を学び、その年の9月には京阪満月会を発足させました。

俳句との出会い

1897年、若尾は仙台の第二高等学校に転学し、正岡子規に初めて訪問しました。彼は子規のもとで句会に参加し、これにより俳人としての活躍が始まります。特に、1898年の夏、子規庵の句会で発表した俳句は大きな評価を受けました。

その後の二高在学中、若尾は佐藤紅緑が主宰する奥羽百文会に参加し、その活動が盛んになる中で、重い脚気にかかることもありました。劇的に復帰した1899年には、会の主宰としてその名を堅持し、「瀾水時代」と呼ばれる興隆期を迎えました。この間に、多くの後進の俳人たちを指導し、彼らの成長を促しました。

正岡子規との関係

若尾は東京帝国大学に進学した後も、子規庵の句会に出席し続け、注目される存在となりました。しかし、1902年に正岡子規が亡くなると、彼はその追悼に際して「子規子の死」という文章を発表し、子規の人間性を厳しく描写しました。この姿勢は物議を醸し、若尾は子規の門下から排斥され、俳壇から失脚する結果となりました。

晩年の活動

1906年に東京帝大を卒業後、若尾は故郷へ戻り、高知新聞の外部記者として活動を開始します。1918年には随筆や研究を発表し、さらに1921年には俳誌「海月くらげ」を創刊することで俳壇に復帰しました。この誌は多くの名のある俳人たちを集め、彼らの作品も発表されました。また、彼は郷土についての研究にも力を入れ、「郷土俳史」という重要な論考を発表しました。

文化人としての側面

若尾は美術にも造詣が深く、土佐の南画家を研究する一方で、書画鑑識者としても知られました。文化の発展に寄与しながら、文学史や郷土史に関する研究を続け、悠々自適な晩年を送りました。1961年に亡くなると、その業績は高く評価され、1967年には彼の遺稿が編纂されて刊行されました。

評価の変遷

若尾瀾水が挙げた「子規子の死」については当初批判的に受け止められましたが、後年では正岡子規に迫る重要な論考として再評価されることとなります。彼の俳業や評論は、今日においても多くの人々に読み継がれています。

若尾瀾水の多様な活動や業績は、日本文学や文化の中で不朽の存在とされ、俳句や日本画の世界において重要な影響を持ち続けています。

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