若杉嘉津子

若杉 嘉津子の生涯

若杉嘉津子（わかすぎ かつこ、1926年3月23日生まれ）は、日本映画界で活躍した女優であり、彼女の本名は勝田英津子（かつた えつこ）。女優活動初期には、若杉須美子や若杉紀英子といった芸名でも知られています。彼女の魅力的な演技は、多くの映画ファンの心を捉え、今なお語り継がれています。

経歴

彼女は山形県南陽市で出生し、2歳で東京の勝田家に養子として迎えられました。幼少期の母親喪失という悲劇を背負い、後年に戸籍謄本を通して真実を知るまで、長い間実子と思い込んでいました。洗足高等女学校を卒業後、1943年には三菱銀行に入社。しかし、戦争の影響で職場挺身隊員として工場に従事することとなり、その後別の企業に転職しました。

演技の興味を抱いたのは1947年、雪印乳業での職場演劇への出演がきっかけでした。この経験を経て、大映に所属することを決意し、女優としてのキャリアをスタートさせました。1948年、若杉須美子名義で映画『親馬鹿大将』にてデビューを果たし、その後も多くの作品に出演しました。特に、1951年には大映の専属俳優として演技の実習生に選ばれるなど、彼女の才能が高く評価されていました。

しかし、キャリアの最中には結婚を経て大映を退社。新東宝に移籍した後も、数々の映画やテレビドラマで活躍を続けました。特に時代劇や怪談映画での彼女の存在感は際立ち、多くのファンを魅了しました。

引退とその後

1964年に女優業を引退した後は、夫と離婚したことも影響し、一人娘を育てるため様々な職に就きました。1987年には呉服店で定年を迎えるなど、彼女の人生は映画界とは別の舞台へとシフトしていきました。

長年の沈黙を経て、2000年に円尾敏郎編のインタビュー本『妖艶 幻想 怪奇 慈愛 若杉嘉津子』が出版され、再び注目を浴びました。さらに、中川信夫生誕100周年のイベントにも参加し、当時の作品や師弟の関係についての思いを語る機会もありました。

2019年には、故人の噂が流れたことで彼女の死去が報じられ、その死去年は不明ながらも、近年の出来事であったことが明らかになりました。

主な出演作品

若杉嘉津子は多様なジャンルの作品に出演し、その演技力は高く評価されました。彼女が登場した映画は数に上り、時代劇や怪談物、さらにはドラマでもその存在感を発揮しました。名作『東海道四谷怪談』や『毒婦高橋お伝』は、今も多くのファンに記憶されています。

女優として波乱万丈の人生を歩んできた彼女の足跡は、映像メディアに深く刻まれています。自身の名を冠した名優として、多くの人々にその存在を知られることとなりました。彼女の作品や生涯を振り返ることは、日本の映画業界に関心を持つ人々にとって、重要な参考となるでしょう。

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