若柳流

若柳流は、手振りの多いことが特徴で、品のある舞踊と評される日本舞踊の流派です。

歴史

創流から発展まで

若柳流は、1895年に若柳吉松（後の初代若柳壽童）によって創流されました。吉松はもともと花柳流の家元である花柳壽輔の門下で舞踊を学んでいましたが、意見の相違から破門され、その後、芸名と本名を組み合わせて「若柳吉松」を名乗り、若柳流を立ち上げました。

創流後、吉松は舞台の振付から離れて花柳界に勢力を広げ、柳橋を中心に地盤を築きました。1905年に「壽童」と改名し、1917年に没しました。壽童には流派を継承する意思のある子供がいなかったため、門弟の中から推挙された若柳吉蔵が二代目家元となりました。

二代目吉蔵は、壽童が築いた地盤を足がかりに勢力を拡大し、1920年には新作舞踊の研究機関である「若柳舞踊研究会」、1926年には歌舞伎舞踊を研究する「日本舞踊研究会」を設立し、多くの門弟を育てました。その結果、若柳流は日本全国に広がり、全盛期を迎えました。

二代目没後の分裂

1943年に吉蔵が没した後、その子である若柳正蔵が二世吉蔵を襲名し三代目家元となりました。しかし、二世吉蔵はまだ若く、一部の門弟からは家元制を廃止し、理事制による流派運営を求める声があがりました。二世吉蔵は一時理事制への移行に同意しましたが、後に撤回したため、若柳流は二世吉蔵を主とする宗家若柳流と、理事制を敷く正派若柳流に分裂することとなりました。さらに、初世吉蔵の長女であり、二世吉蔵の姉である若柳吉世も独立し、関西地方を統括しました。

正派若柳流

家元から離れた一派は「正派若柳流」を名乗り、理事制による流派運営を行うことになりました。運営機関として1951年に正派若柳会を設立し、壽童の直弟子である若柳吉登代が総務理事に就任しました。1955年に吉登代が亡くなると、若柳寿慶が総務に就任しましたが、その後派閥間の対立から1971年に独立し、「直派若柳流」を設立しました。しかし同年、寿慶が没すると、若柳吉駒を理事長とする寿慶協会と、若柳慶を会長とする寿慶会に分裂。さらに、寿慶協会からは若柳寿宏が直派分家若柳流として独立し、寿慶会では若柳汎が汎栄会を設立しました。

若柳流西

関西の勢力を統括するために分家していた若柳吉世は、1950年に独立し、若柳流西家元となりました。初期には本拠地から京都若柳流とも呼ばれていました。二世吉蔵の薫陶を受けた門弟たちが結束しており、吉蔵の芸をよく受け継いでいると評価されています。吉世の没後は、長女である若柳吉世童が吉世を襲名し、後を継いでいます。また、拠点を芦屋から練馬に移しました。

参考資料

柴崎四郎 『通史花柳流 花の流れ一世紀』自由国民社、1985年。ISBN 978-4-426-50018-4
演劇出版社編『日本舞踊入門』2004年、ISBN 4-900256-89-7
藤田洋『日本舞踊ハンドブック改訂版』三省堂、2010年、ISBN 978-4-385-41066-1

注釈

外部リンク

若柳流宗家 若柳吉蔵公式ウェブサイト - 若柳吉蔵によるウェブサイト
若柳流オフィシャルサイト - 若柳寿延によるウェブサイト
若柳舞踊稽古場 - 若柳吉世によるウェブサイト

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