若草 (航空機)

若草（わかくさ）

若草は、大日本帝国海軍が使用した練習用滑空機であり、設計と製造は日本小型飛行機が手がけました。略符号は「MXJ1」であり、社内名称は「K-15」と呼ばれています。この機体は、1941年に発表された中級滑空機設計募集に基づき開発され、1942年に初めて完成しました。

開発の背景

1941年の初頭、大日本飛行協会、いくつかの新聞社が共催し、滑空機の設計募集が行われました。この中では、生産や運航、整備にかかるコストの低さや貨車輸送の可用性が求められました。この要望を受けて、日本小型は日本式雉型中級滑空機を設計し、応募した結果、予選を通過しました。試作は航空局によって行われ、1942年春には機体が完成。石岡中央滑空訓練所にてテスト審査が行われ、同年11月には3等賞を受賞しました。1等賞の受賞者は現れず、2等は進藤式SB-6型が獲得しました。

制式採用と量産

1942年6月、海軍航空技術廠は、初歩練習生が九三式中間練習機に先立ち、操縦訓練に使用する滑空機の試作を命じました。その結果、日本小型は日本式雉型を基にした機体（MXJ1）を設計し、わずか3週間で試作機を完成。1944年3月には「若草一一型」として制式採用されました。量産は大日本滑空、大洋航空、松田航空、宮下航空、横井航空など複数の会社が関与し、500機以上が各地の練習航空隊で使用されました。また、陸軍でも「ク14」の名称で運用されています。若草の生産は、木製機制作に関わる基礎実習としても機能しました。

機体構造

若草は高翼単葉の構造を持つ全木製機であり、生産性の高い簡易な設計が特徴です。初歩練習に適した設計であり、失速を防ぐために大型の水平尾翼を装備しています。操縦席は風防なしの開放式で、翼の形状は雉型に似ていますが、胴体は当時開発中の日本小型式K-14型初級滑空機に近い構造に変更されています。部品も共通化されており、操縦席のレイアウトも海軍の練習機に基づいています。

発航方法は、ゴム索による射出や、手動またはウィンチによる曳航が利用されます。

その他の情報

日本小型は、陸軍のパイロット養成のために、準同型機として日本式K-15型中級滑空機も生産していました。このK-15型は、風防がないなど若草とは異なる設計特徴がありますが、開発が進んだ時期は若草よりも早かったとされています。

諸元

• - 全長：6.24 m
• - 全幅：10.82 m
• - 主翼面積：14.4 m²
• - 自重：125 kg
• - 全備重量：185 kg
• - 滑空速度：58.5 km/h
• - 乗員：1名

若草は、日本の航空史における重要な一翼を担った滑空機であり、その開発過程は多くの教訓と成果を生み出しました。

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