若草物語 (1949年の映画)

1949年版『若草物語』：カラー映画で彩られた名作

1949年公開の映画『若草物語』は、ルイーザ・メイ・オルコットの同名小説を基にした、アメリカ映画史に残る名作です。1933年にキャサリン・ヘプバーン主演で映画化された作品のリメイクとして制作され、初のカラー映画（テクニカラー）での映像化によって、原作の世界観を鮮やかに表現することに成功しています。

マーヴィン・ルロイが製作と監督を務め、脚本にはサリー・ベンソン、ヴィクター・ヒアマン、サラ・Y・メイソン、アンドリュー・ソルトといった実力派が参加。音楽はアドルフ・ドイチュとマックス・スタイナーが担当し、美しい旋律が物語に深みを与えています。

キャストには、ジューン・アリソン、ピーター・ローフォードといった当時を代表するスターに加え、イタリア人俳優ロッサノ・ブラッツィのアメリカ映画デビュー作という点でも注目に値します。また、C・オーブリー・スミス卿の遺作としても知られており、彼の存在感が作品に重厚さを与えています。

物語：家族の愛と成長

物語は南北戦争時代のマサチューセッツ州コンコードを舞台に、マーチ家の四姉妹――メグ、ジョー、ベス、エイミー――と母親、そして父親の物語が展開します。父親の出兵、貧困生活、そして姉妹たちの個性的な成長が丁寧に描かれています。

活発で作家を志すジョー、優しく繊細なベス、上品で虚栄心の強いエイミー、そして家庭的な長女メグ。それぞれの個性と葛藤が、家族の絆をより一層際立たせています。

隣家のローリーとの交流、メグとジョンの恋、ベスの病気と死、そしてエイミーとローリーの結婚など、姉妹たちの恋愛模様や人生の転機が、感動的に描かれています。特にベスの死は、作品全体に深い悲しみと余韻を与え、観る者に強い印象を与えます。

ジョーの恋愛遍歴も物語の重要な要素です。ローリーへの恋心を抑え、作家としての道を歩むジョーの姿は、自立した女性像として現代にも通じる魅力があります。そして、物語終盤でのジョーとベア教授の出会いと結婚は、新たな人生の始まりを予感させる、希望に満ちた結末となっています。

製作秘話

当初はデヴィッド・O・セルズニックが製作を予定していましたが、過酷な撮影スケジュールのためMGMに権利が移譲されたという経緯があります。セルズニック版では、ジェニファー・ジョーンズ、ダイアナ・リン、バンビ・リン、ロンダ・フレミングといった豪華なキャストが予定されていたと伝えられています。

原作との相違点

映画版では、原作小説と比較して、登場人物の年齢設定やエピソードの取捨選択、シーンの追加・削除などが行われています。特に、ジョーとローリーの関係性やエイミーとローリーの恋の進展、いくつかの重要なエピソードは、映画版では簡略化または省略されています。

公開と評価

1949年の公開時には、大ヒットを記録し、興行収入はアメリカとカナダで342万5000ドル、海外で249万5000ドルに達しました。高品質なカラー映像と豪華キャスト、そして感動的なストーリーが、多くの観客を魅了した結果と言えるでしょう。

現在でも、1949年版『若草物語』は、美しい映像と名優たちの演技、そして家族愛と成長を描く感動的な物語として、高い評価を受け続けています。原作ファンのみならず、幅広い世代の観客に愛される、不朽の名作と言えるでしょう。

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