若葉台検車区

京王電鉄若葉台検車区：車両基地の詳細解説

京王電鉄若葉台検車区は、東京都稲城市（一部は神奈川県川崎市麻生区）に位置する、京王電鉄の重要な車両基地です。ここでは、鉄道車両の検査や修理が行われるほか、鉄道事故発生時の救助・復旧訓練も実施されています。本稿では、若葉台検車区に併設されている桜上水派出所と若葉台工場についても詳しく解説します。

若葉台検車区の沿革

若葉台検車区は、京王相模原線若葉台駅の北西部に位置し、1983年（昭和58年）10月1日に開設されました。京王電鉄最大の車両基地として、車両の修理や内装更新、各種検査など、多岐にわたる業務を担っています。

開設の背景

1926年（大正15年）4月28日、北沢車庫前駅（現在の桜上水駅）が開業し、駅北側には北沢車庫（後の桜上水検車区・桜上水工場）が設けられました。以来、京王線系統の車両整備は、桜上水検車区・桜上水工場、そして高幡不動駅北側の高幡不動検車区で行われてきました。

しかし、相模原線の開業や乗客増加に伴う編成の長大化により、車両数が増加し、車両自体も大型化。桜上水検車区・桜上水工場は手狭となり、対応が困難になっていました。そこで、当時開発が比較的遅れていた若葉台駅北西部に新たな検車区・工場を新設し、検車区・工場機能を移転することになりました。これにより、桜上水検車区は若葉台検車区の派出所となり、後に桜上水工場は廃止されました。

若葉台工場の詳細

若葉台車両基地の北側に位置する若葉台工場では、車両の全般検査、重要部検査、臨時検査、改造工事などが行われます。車両は工場に入る前に床下洗滌庫で洗浄され、入線後に編成を分解し、車体作業場へと移されます。ここでは、床下機器や台車が取り外され、各作業場で詳細な点検を受けます。

車両は、入線から始まり、車体作業場、改修場、再び車体作業場へと流れ、2回目の車体作業場で点検を終えた床下機器や台車が取り付けられます。すべての作業が完了した後、車両は連結され、再び編成を組んで出場します。

検査業務の委託

車両のリニューアル、VVVFインバータ化、定期検査、重要部検査、全般検査などの業務は一部、京王重機整備株式会社に委託されています。また、井の頭線の車両検査業務のうち、車体以外の部品の検査・整備は、富士見ヶ丘検車区で車体から取り外された後、トラックで若葉台工場へ運ばれて行われます。そのため、井の頭線車両の車体に記される検査表記は「若葉台工」となっています。

若葉台検車区の設備

若葉台検車区では、主に車両の月検査、列車検査、車両清掃、車輪の削正などが行われます。若葉台駅西側から検車区・工場全施設への引込み線があり、構内入換えでは、若葉台駅4番線の横にある線まで車両が出ることがあります。構内はすべて平面交差となっています。

基地内には、留置線が6線、検車庫線が2線、洗車線が4線設置されています。洗車線のうち最も北側の線には、車輪転削庫が併設されています。検車庫には、列車検査線側にパンタグラフすり板測定装置、月検査線側に車輪寸法測定装置が設置されています。また、車両基地の北東には修理場があります。

桜上水派出所

桜上水派出所は、かつての桜上水検車区・桜上水工場です。桜上水駅の北側と東側には多数の留置線が設置されています。若葉台への工場移転後、跡地は住宅展示場となりましたが、橋上駅舎化に伴い、留置線の一部が撤去されています。

まとめ

若葉台検車区は、京王電鉄の車両を安全に運行するために欠かせない重要な拠点です。日々の検査やメンテナンス、そして事故発生時の対応を通じて、京王電鉄の安全運行を支え続けています。

参考文献
あいぼりー特別号『京王線・井の頭線 むかし物語』総集編 京王電鉄広報部刊 2009年12月9日発行
若葉台車両基地 見学者向けパンフレット 京王電鉄株式会社 2022年10月発行

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