苫小牧貨物駅

苫小牧貨物駅：北海道の貨物輸送を支える拠点

苫小牧貨物駅は、北海道苫小牧市に位置する日本貨物鉄道（JR貨物）の貨物駅です。室蘭本線と日高本線の貨物輸送において、重要な役割を担っています。

歴史：苫小牧港の発展と共に

1892年、北海道炭礦鉄道苫小牧駅として開業しました。当初は旅客・貨物両方の取り扱いを行っていましたが、1987年の国鉄分割民営化と同時に旅客業務を分離し、現在の苫小牧貨物駅となりました。

その後、苫小牧港の発展に伴い、貨物取扱量は増加。1960年代には苫小牧操車場が建設され、石炭や雑貨の輸送拠点として機能しました。石炭埠頭や雑貨埠頭への公共臨港線が敷設されたことによって、港湾との連携も強化されました。

しかし、時代の変化と共に石炭輸送は減少。1988年には石炭埠頭公共臨港線が廃止されました。その後、コンテナ輸送への移行が進む中、1991年には旧・苫小牧操車場跡地へ貨物駅が移転し、コンテナホームが順次建設されました。2003年には、石油資源開発の液化天然ガス（LNG）輸送拠点となり、LNGコンテナの取扱いが開始されました。2011年には、これまでの名称から「苫小牧貨物駅」に改称されました。

駅構造：大規模なコンテナターミナル

駅は室蘭本線と日高本線の南側に広大な敷地を有し、東西に約1.5kmに渡って線路が敷設されています。3面あるコンテナホームは、それぞれ20両編成に対応できる規模で、合計で約3万5千平方メートルの広さを誇ります。

第1コンテナホーム、第2コンテナホーム、第3コンテナホームと順次増設され、LNG輸送の増加に対応して拡張が続けられました。着発線荷役方式（E&S方式）も導入されており、効率的な荷役作業を実現しています。駅構内にはJR貨物道央支店苫小牧営業所も設置されています。なお、駅構内は非電化のため、入換作業はディーゼル機関車が担っています。

札幌貨物ターミナル駅の補完機能も有しており、千歳線の運行障害時には、苫小牧駅でコンテナをトラックに積み替え、輸送を継続する体制が整えられています。

貨物取扱：多様な品目の輸送

苫小牧貨物駅は、コンテナ貨物の取扱駅です。12フィートコンテナ、20フィート・30フィート大型コンテナ、ISO規格の20フィート海上コンテナなど、様々なサイズのコンテナを取り扱っています。

取扱品目は多岐に渡り、紙、食料工業品、自動車部品などが主な発送貨物です。また、産業廃棄物や特別管理産業廃棄物の取扱許可も取得しており、これらの輸送にも対応しています。

特に重要なのは、LNG輸送です。勇払油ガス田から産出されるLNGは、タンクコンテナで駅に運ばれ、北旭川、釧路、帯広、北見などの各地へ発送されます。

貨物列車：広範囲へのネットワーク

多くの貨物列車が発着します。高速貨物列車は、札幌方面、帯広方面、そして本州方面へとコンテナを運びます。また、専用貨物列車の発着駅にもなっており、貨車の中継作業も行われています。

周辺環境：港湾と商業施設の連携

駅周辺には国道36号、苫小牧港、フェリーターミナルなどがあり、交通アクセスも良好です。また、イオンモール苫小牧などの商業施設も近隣に集積しており、活気のある地域に位置しています。

結論

苫小牧貨物駅は、北海道の物流を支える重要な拠点として、コンテナ輸送、LNG輸送などを通じて、地域経済の発展に貢献しています。今後も、時代の変化に対応しながら、その役割を担っていくことでしょう。

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